研究課題/領域番号 |
25501012
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
海津 ゆりえ 文教大学, 国際学部, 教授 (20453441)
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研究分担者 |
橋本 俊哉 立教大学, 観光学部, 教授 (50277737)
真板 昭夫 京都嵯峨芸術大学, 芸術学部, 教授 (80340537)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 観光資源 / エコツーリズム / 復興支援 / 住民参加 / 地域運営システム / 岩手県宮古市 / 福島県北塩原村 / 京都府京都市 |
研究実績の概要 |
今年度は以下の通り研究者個々の研究活動を行った。 1.岩手県宮古市(担当:海津)において、過去3年に亘って実施してきている住民参加型ツアーの自立化に向けた試みを実施した。住民ガイド養成を伴うワークショップを開催し、ツアーコースの見直しとセルフガイドが可能な媒体の作成を行った。実際のツアー時にはワークショップ参加者のガイドとしての協力は得ることができなかった。実施主体となるべき自治体(宮古市)と観光協会等の政策上の位置づけが確保できず、また住民ガイドそれぞれの事情や都合等によって参加が叶わない等の事情が把握された 2.福島県北塩原村(担当:橋本)では、文献調査・村民への聞き取り調査・踏査を行い、村の資源や魅力をフェノロジーカレンダーと資源マップにまとめ、その成果とウォーキングの先進事例の分析をふまえて観光者参画実験(モニターツアーと交流会)を行った。ツアー終了後に参加者・スタッフ双方からの評価を集計した結果、ツアーの内容・魅力や催行のし方等、全般に渡って高評価が得られ、本エコツアーの実施は、対象地区の様々な魅力を村民に(再)認識 してもらうために有効な取り組みであることが示され、今後ツアーの改善と定番化を図るために必要とされる知見が得られた。 3.京都市(担当:真板)では、京都嵯峨野地域における寺社仏閣の年間行事、嵯峨野の食文化、桂川や小倉山を軸とする生き物の動向等について文献調査・および関係組織や地域住民への聞き取り調査、および写真や動画の現地撮影を行った。またそれをもとに嵯峨野の魅力をフェノロジーカレンダー「和暦」(なごみこよみ)として作成し配布を行った。作業を通じた活動発表の場として、ローターリークラブ主催の9大学共催の「環境保全活動報告会とシンポジューム」にて成果発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.宮古市を対象とする文化資源に関する研究では、所定の実証実験としてのモニターツアーを行い、住民参加者や関係者のフィードバックを得ることができた。住民主体でのツアーが継続できるよう、マニュアル及び使用媒体も作成できた。一方で継続性に関する課題も把握された。 2.福島県北塩原村では調査を踏まえたツアーの実施と、それによる成果物の作成に着手することができた。 3.京都市においては、資源の再確認作業を通じた暦の作成と成果報告が行われた。
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今後の研究の推進方策 |
全体として平成27年度は総括を行う予定としている。3者のフィールド研究の成果をとりまとめ、現地でのステークホルダーの参加も得たシンポジウムを開催し、課題の整理と今後の展望について検討する予定である。 その他個別には次のように進める。 1.岩手県宮古市では住民主体の新たな文化資源活用プログラムの定着に向けた検討を続ける。現地での話し合いと、住民が考える適時性あるプログラムの試行を行う。 2.前年度の観光者参画実験の成果をふまえ、今年度は村内の別地区において資源発掘調査と観光者参画実験を実施する。観光者参画実験の開催にあたっては、参加者・スタッフ双方からのアンケート評価を分析し有効性を検証するほか、昨年度に培ったネットワークを活用して村民に農業体験をサポートしてもらったり、対象地区の資源マップを作成・配布することにより、村民による資源の保存・継承に向けての意識づけを行う。昨年実施した観光者参画実験に関しては、引き続き開催を働きかけるすることでより多くの村民の参加を促す方策を検討する。 3.真板は異動に伴いフィールドを北海道に変更する。北海道の開拓地区において資源発掘調査とカレンダー作成を実施する。実施にあたっては、地域住民の事前ヒアリングを元に、アンケート表を作成し全戸調査を実施する。昨年度に培った作業手法を活用し、対象地区の資源マップを作成・配布することにより地域住民の資源の保存・継承、観光を通じた持続的な町づくりに向けての意識づけを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
交通費、物品購入費などが想定見積額より小額で済んだことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は計画的に予算を執行する。
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