研究課題/領域番号 |
25501013
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
大西 律子 目白大学, 社会学部, 教授 (50337630)
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研究分担者 |
富澤 浩樹 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 講師 (60348315)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 観光まちづくり学習 / 観光まちづくり / ファシリテーター / リーダー養成 / 協働 / オーラル・ヒストリー / 質的研究 / 地域情報アーカイブ |
研究概要 |
本研究は、観光まちづくり活動を実質的にけん引するリーダーに求められる「ファシリテーション能力」(=地域内外の多様な主体による協働活動を舵取りするスキル等)に着目し、当該能力の育成に主眼をおくプログラムを開発し、その試験的運用によって妥当性を検証した上で、最終的には当該プログラムのプロトタイプ化と運用マニュアルの策定を目指している。 今年度は、本研究の全体枠組について再調整を図った上で、以下の基礎的調査を実施した。 1.文献調査:内外の観光、まちづくり及び他領域における学術雑誌等から、(1)ファシリテーター及びその育成に関する理論や、(2)それに則ったプログラム事例(カリキュラム、テキスト、学習課題、指導環境、効果)に関する情報を幅広く収集し、系統的整理を行った。なお、本調査で明らかになった先進的プログラムについては、次年度に事例研究を行い、申請者らのプログラム開発に有用な知見を探る予定。 2.インタビュー調査:国内で実績を有する観光まちづくりリーダー(北海道、埼玉県を起点とする3名)を対象に、これまで経験してきた協働活動(合意形成、問題解決等)の細部に関し、オーラル・ヒストリー手法によるインタビュー調査を実施した。なお、本調査はその方法論も含めて検討を重ね、次年度以降も継続し、リーダーに帰属するファシリテーションに関する暗黙知の採取及びその体系化(学習課題やテキスト等の構成要素の抽出)を試みる予定。 3.事例調査:今年度、申請者らが埼玉県内の自治体・NPOの要請を受ける形で実施した、地域住民を対象とするまちづくり学習講座(観光まちづくりの視点も含め、県内2地域で展開)の全プロセスについてアクションリサーチを行い、申請者らが次年度に取り組む、ファシリテーター型リーダー育成プログラムの開発・運用に有用なデータ及び知見を入手した(なお、本調査は研究枠組みの見直しに伴って追加的に実施)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、申請時に予定していた、1)内外の観光、まちづくり及び他領域でのファシリテーター型リーダーに関する研究動向の把握(具体的には、学術雑誌等から、①ファシリテーター及びその育成に関する理論や、②それに則ったプログラム事例に関する知見整理等)、2)国内で実績を有する観光まちづくりリーダーに対するインタビュー調査の設計(リーダーに蓄積されたファシリテーションに関する<暗黙知>を採取するための手順や枠組みの検討/対象者の選定及び予備調査)の2つの研究課題を進め、次年度の研究課題の展開に資する成果を導き出すことができた。加えて、上述2)の研究過程において、本来次年度に予定していた、観光まちづくりリーダー(国内)に対するインタビュー(オーラル・ヒストリー手法を用いた細部にわたる聞き取り)を先行的に試行でき、また、申請時の計画に加えて、埼玉県内の自治体及びNPOの要請を受ける形で、まちづくり学習講座(観光まちづくりの視点も盛り込み、県内2地域で展開)を企画運用し、その全プロセスをアクションリサーチによって総合的に検討する実験調査を補足的に実施できた点は、次年度の研究課題(ファシリテーター型リーダ育成プログラムの開発及び試験的運用)のフィージビリティを高める上で有益だったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度実施した、国内外の当該分野における既存研究の動向把握、観光まちづりリーダーを対象とするファシリテーションに関するインタビュー調査(オーラル・ヒストリー手法による聞き取り)、及び申請者らのまちづくり学習講座(観光まちづくりの視点も盛り込み、埼玉県内2地域で展開)に関するアクションリサーチの成果等を総合的に検討した上で、1)観光まちづくりの現場で導入しうる、ファシリテーター型リーダー育成プログラムのパイロット版を開発するとともに、実験対象地を選定し、協力体制の構築を図り、2)当該プログラムの実験的運用(2回予定)及びそれらを踏まえた、3)プログラムのプロトタイプ化と運用マニュアルの策定を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の執行額にごく僅かな残額が生じたのは、ファシリテーター型リーダー及びその育成に関する内外の研究動向を把握するために予定していた調査が、インターネット上の学術情報環境の整備(文献・資料のデジタル化及び利用促進環境の改善等)により、想定以上に効率的に進められたことによるものである(交通費・資料複写費用等が軽減でき、ごく僅かながら残額が生じる結果となった)。 今年度の残額は、次年度に予定しているファシリテーター型リーダー育成のためのプログラム開発時におけるワークショップ関連経費(参考資料費購入等)の補助費として執行する予定である。
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