研究課題/領域番号 |
25501020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
佐々木 一彰 日本大学, 経済学部, 講師 (20329915)
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研究分担者 |
藤本 光太郎 大阪商業大学, 付置研究所, 研究員 (10601114)
中條 辰哉 大阪商業大学, 付置研究所, 研究員 (90411470)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | カジノ / Integrated Resort(IR) / 観光 / ギャンブル / ゲーミング / 依存症 / 社会的コスト / 経済的効果 |
研究概要 |
2013年12月5日に、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」が国会に上程された。この法律は、通称、IR推進法と言われているものであり、カジノを核とする統合型リゾートを合法化するための法律を1年以内に作らなければならない旨を定めている法律である。これにより、「観光資源としてのカジノ」が日本で機能する一歩を踏み出したといえよう。本研究の代表者である佐々木一彰は、この件についてBloombergにコメントを出している。 研究実績としては大阪商業大学アミューズメント産業研究所による『カジノ導入をめぐる諸問題3』が発行されており、研究代表者、分担者全員が「カジノの社会的コスト」のうち大きな割合を占める「依存症」の問題について各章を担当している。日本が「観光資源としてのカジノ」を有効に機能させうるためにはこの「依存症」の問題を解決しなければならない点について各人がそれぞれ異なった点より検討し、一定の結論を得ている。 また、カジノの経済的効果については、研究代表者は余暇ツーリズム学会誌1号に地方型カジノのありかたについて論文を執筆し、日本ホスピタリティ・マネジメント学会誌22号には東京オリンピックとカジノとのかかわりについて論文を執筆している。研究分担者はそれぞれ大阪商業大学アミューズメント産業研究所紀要にカジノの競争環境についての論文とアメリカ・ネイティブ・インディアン自治区によるゲーミングの実態についての論文を執筆しており、「観光資源としてのカジノ」が有効に機能した場合、経済的効果は大きいことを検討し、一定の結論を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は日本において「観光資源としてのカジノ」が有効に機能するためには カジノの社会的コストと経済的効果を冷静に検討し望ましい形を検討することにあるが、研究代表者も研究分担者も各々「社会的コスト」についての論文も「経済的効果」についての論文も執筆しており、今年度の研究目的はおおむね達成されていると言えよう。 具体的には社会的コストの検討として、各研究構成員が「観光資源としてのカジノ」が有効に機能するために避けては通れない依存症の問題についての論文を執筆している。研究代表者である佐々木一彰は海外の事例の検討を行い、分担者である藤本光太郎は依存症についてのデータ分析を行い、同じく分担者である、中條辰哉は確率論的な問題より依存症の問題について取り組んでいる。 経済的な効果については研究代表者である佐々木一彰は学会誌に地方型カジノのあり方、および東京オリンピック後にカジノが果たしうる役割について論文を執筆しており、研究分担者である藤本光太郎は研究所が発行している論文集にデータマイニングを活用したカジノの戦略について執筆しており、同じく分担者である中條辰哉はネイティブ・アメリカンの居留地で経営されているカジノについてその社会的な役割と経済的な効果について同じ論文集に執筆している。
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今後の研究の推進方策 |
2014年4月現在、IR推進法は国会に上程されており今後、審議が始まると思われるが、「カジノ」をアカデミックな立場より検討している研究者は希少である。従って、国会審議および、その後のIR実定法にも本研究が影響を与えるように積極的に研究成果を発信してゆくことにする。方法としては学術論文を執筆するのみならず、各マスメディアを通じその研究成果を発信してゆくこととする。また、各機関と連携し大規模な日本人がカジノについて抱いているイメージについての調査を行うことも検討している。 例えば昨年度(2013年度)においては研究代表者である佐々木一彰はBloomberg、毎日新聞、東洋経済、週刊ホテルレストラン等に取材を受けその内容がコメントとして掲載されている。当然のことながらその取材されコメントが掲載されたテーマは本研究テーマである「観光資源としてのカジノ」である。 また、今後は観光資源としてのカジノの社会的コスト、経済的効果について更に精緻化し、実定法に影響を与えうるように引き続き努力すると同時に、カジノを取り巻く産業についても海外の事例を対象に研究活動を進めてゆくことを考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
情報機器性能の向上が目覚ましく当初想定していた性能のものが安価に入手できたため。 実態調査を行うため旅費、滞在費もしくは入手したデータを解析するためのコンピューターソフトを購入予定である。
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