研究課題/領域番号 |
25501023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | サイバー大学 |
研究代表者 |
松本 慎二 サイバー大学, 国際文化学部, 教授 (50454195)
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研究分担者 |
内海 麻利 駒澤大学, 法学部, 教授 (60365533)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 世界遺産 / 都市マネジメント / 観光学 / 国際情報交換(仏) |
研究概要 |
1.日本では、地域の観光政策に基づく文化遺産を活かした都市マネジメントが提起されている。2.ユネスコ世界遺産委員会では、世界遺産の保存・持続・発展のバランスが喫緊の課題となっている。さらに、3.観光大国フランスにおける地域の実情に即した世界遺産を活かした都市マネジメントが明らかになりつつある。 本年度はユネスコ世界遺産センターの資料収集と分析、担当職員との国際協力推進についての協議、日仏比較調査の予備調査(京都、奈良の観光政策機関からの情報収集、フランスの調査地域の特定、日仏比較を主題とする講演の記録、関連資料の収集)等を実施した。 持続的発展(sustainable development)のための世界遺産都市の協力推進をめざす、ユネスコ世界遺産センターの活動と関係資料は特に重視される。また日仏間の架け橋的な人物のデジタルアーカイブ作成のための記録・資料収集活動を通じて、日仏比較の基礎資料を作成した。さらに2013年10月『世界遺産で巡るフランス歴史の旅』を上梓(朝日選書)日仏世界遺産都市の都市マネジメントの基礎資料に加えた。世界遺産センターに対するヒアリングでは、同センターの世界遺産登録・管理の方針に関するデータの経年変化を示すデータ提供を依頼し、近年の世界遺産登録及び管理の動向について情報を収集した。 京都市、奈良市の文化財保護課に対するヒアリングにおいては文化財保護行政の概要、世界遺産登録の経緯と文化財保護法との関係、歴史的都市景観(historic urban landscape)に対する対応、木造建築の真正性、有形文化遺産と無形文化遺産を統合する遺産保護等について情報を収集した。 また大規模な再開発計画推進中のパリ市レ・アル地区の住民参加制度に関し関連調査を実施、学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ユネスコ世界遺産センターとの協議を通じ、世界遺産登録、管理の主要経年変化をたどることができ、関連資料の収集・分析も予定通り終了した。また世界遺産センターと今後の協力について一致、我が国からの関連情報の発信に協力することになった。 次年度に予定されている本格的アンケート調査の対象フランス都市の特定がおおむね終了した。登録世界遺産を有する都市の都市マネジメントの実態をグローバルな視点とローカルな視点の2つから検討するため、パリ、リヨン、ストラスブール、ボルドーなどの歴史的文化遺産を持つ都市、特定の世界遺産(カテドラルなど)を持ち、都市マネジメント活動が特に目立つランスのような歴史都市、史的遺産ではなく第二次大戦後の都市造りが評価されている世界遺産都市、ル・アーヴル、世界遺産に関わる観光事業が行政の最大の眼目となっているモン・サン=ミッシェル等の諸都市の関係機関(市庁、観光協会など)と友好的関係を確立、アンケートに対する協力だけでなく次年度以降の活動への協力をとりつけた。 フランス国内における各世界遺産都市の比較、日仏の比較に関しできるだけ正確で公正なデータを得るためにアンケートの細部はなお検討が必要であるが、ヒアリングの骨子はおおむね決定した。実態調査とアンケートの実施は今夏を予定しているので、日本の世界遺産都市の実態に配慮しつつ両者の比較が可能となる実態・アンケート調査を実施する準備はほぼ整ったと考えられる。 ユネスコ世界遺産センターとの協力はさらに進むことが予想される。例えば「文化的景観」(cutural landscape)に関する国際セミナーなどをユネスコと共催することも考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1.確認調査:制度的側面、活動的側面から日本の課題を確定し、フランスの実態調査における視点とするとともに訪問・聞取り調査の項目を作成する。対象地域としては既出諸都市に加えてアルビ、コルシカ地方、セヴェンヌ地方などをとりあげる。 2.実態調査:選定した調査地域において資料収集、視察、関係団体への聞取り調査を行い都市マネジメントのあり方と方策を明らかにする第2段階を実施する。その実施にあたっては(1)ユネスコを中心とする世界遺産活動の動向と(2)日本の課題を視点とする。日本に関しては本研究応募申請以後、富士山と富岡製糸工場が新たに世界遺産リストに登録ないし登録予定されたので、新たなフィールド調査を実施したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
海外旅費の余剰が3364円生じた。 次年度の人件費・謝金の一部に充当の予定。
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