本研究では、和船を活かした遊覧観光と船祭りについて研究し、全国の内水面遊覧と海の船祭りの最新のデータベースを作成した。伝統的木造和船は、漁業や水運ではほとんど消滅したが、遊覧船や祭りの船では存続し、今後もその可能性がある。こうした和船文化を守るには、船大工が船頭を兼ねるローカルな労働システムを持続することや、行政が船大工を無形文化財として保護し、後継者育成をはかる仕組みを確立することも重要である。 また年に一度の船祭りだけで和船技術を維持するのは困難だが、和船遊覧にみる建造機会の増加は、伝統ある船祭りを存続させていくのにも役立っている。
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