研究課題/領域番号 |
25501029
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研究機関 | 沖縄国際大学 |
研究代表者 |
田口 順等 沖縄国際大学, 産業情報学部, 准教授 (60440947)
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研究分担者 |
荒木 長照 大阪府立大学, 経済学部, 教授 (50214789)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 観光学 / マーケティング / 統計学 / 経済学 |
研究実績の概要 |
本研究は日本における現代クルーズ客船市場の発展および誘致・振興による地域経済への影響を分析する。さらに日本国内における現代クルーズの需要・ニーズについて分析し、観光産業の一つとしてのクルーズの可能性や役割について分析するこことである。 研究計画2「日本における現代クルーズの需要・ニーズ」に基づき観光商品としてクルーズを選択する要因を分析するためにwebアンケートで詳細な個人属性や心理的変数を収集したうえで、日本人がクルーズを選択する理由や要因を統計的に明らかにした。 まず線形回帰モデルを用いて、クルーズへの関心や参加意向を目的変数、潜在消費者の属性(所得・休暇・国内・海外旅行経験)を説明変数として分析した。結果は海外そして国内の旅行経験がクルーズの関心を高めており、所得は影響せず、価格や経済規模といった既存の統計では要因・理由を特定しづらいことが明らかになった。これらの結果から、潜在的な需要を掘り起こすには、国内外旅行経験者をターゲットとし、そこにコミュニケーションをすることがクルーズの広報は効率的と言えると結論となった。 次に、現代クルーズへ関心や参加意向を目的変数、クルーズについてのイメージを説明変数として分析した。分析の結果、認知的なイメージの両方が関心や参加意向にプラスに働き、情報の欠如(無知)による一種の知覚リスクがマイナス要因となって働いていることとなった。このことから、認知的・感情両面からの好意的イメージ形成を促し、一方で知覚リスクを軽減するようなコミュニケーションが必要であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画の分析手法では良い結果が期待できなかったため、異なる分析手法で観光商品としてクルーズを選択する要因を分析したが、新たな知見を得られることができた。
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今後の研究の推進方策 |
・延期されていた日本人現代クルーズ客船利用者に対して母港・寄港地での観光消費額についてアンケート調査が可能となり、地域経済に与える影響を産業連関分析による経済波及効果の推計を行う予定である。 ・研究計画とは別の統計手法を用いて引き続き観光商品としてクルーズを選択する要因を分析する。 ・現代クルーズ客船の行政の誘致状況およびクルーズ客船会社の取組みについてはヒアリングだけでは十分な情報が得られなかったため、文献調査を含めて情報収集を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内における校務の増大によって、十分な研究時間が確保できず、当初予定していたヒアリング実施が困難となったため。乗船アンケートについては2016年3月に実施され、執行残が発生している。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続きwebアンケートを実施し、日本における現代クルーズの需要・ニーズについて定量的分析を行う。
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