研究課題/領域番号 |
25502002
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齊藤 惠逸 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (50162194)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 化学発光 / HPLC / ルテニウム錯体 / ルミノール / ホモシステイン / メチルマロン酸 / 第二級アミン / 銅錯体 |
研究実績の概要 |
トリス(2,2'-ビピリジン)ルテニウム錯体 (Ru錯体) 化学発光法によるホモシステイン (ホモシスチン尿症の指標物質) の最適検出条件における検出限界は0.2μMであり,健常者の血漿中総ホモシステイン濃度と比較して十分な感度であった。4種類の類縁物質及びプロリンの発光強度を測定したところ,ホモシスチンがホモシステインの約3.7倍の発光強度を示した。この結果は,ホモシスチンの高感度検出が可能であることを示す。他の物質の発光強度は,ホモシステインの5%以下であった。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)-Ru錯体化学発光法により人工血清及び人工尿中ホモシステインの添加回収率 (1μM, n=3) を求めたところ,それぞれ78±3.5%,36±16%であった。 HPLC-Ru錯体化学発光法を人工尿中メチルマロン酸の定量に適用した。10倍希釈した人工尿中メチルマロン酸の添加回収率 (0.8mM, n=3) は111±4%であり,メチルマロン酸血症患者の尿に適用可能であることを示唆する結果が得られた。 Ru錯体化学発光法は還元力の強い物質の検出には不向きであるため,水溶液中における銅(I)錯体の蛍光を利用する還元剤の検出について検討したところ,アスコルビン酸や国際がん研究機関によってグループ2Bに分類されているヒドラジンの検出に有効であった。 脂肪族第二級アミンは発がん性物質の前駆体として注目されている。ジエチルアミンをニトロソ化し,HPLC-紫外線照射-ルミノール化学発光により検出する方法について検討した。クロラールを触媒とするニトロソ化を試みたところ,硫酸酸性下におけるニトロソ化の際に出現した妨害ピークが抑制された。ニトロソ化反応の最適条件を検討し,検出限界を求めたところ30nMであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
高速液体クロマトグラフィーの検出系にトリス(2,2'-ビピリジン)ルテニウム錯体 (Ru錯体) の化学発光を用いる方法を実試料に適用するため,準備段階として分離・検出の基礎的検討が終わったメチルマロン酸及びホモシステインについて人工尿・人工血清を用いて検討したところ,予想した以上に大きな共存成分の影響が認められた。その結果,実試料への適用には至らなかった。 Ru錯体化学発光法により高感度検出が可能な脂肪族第三級アミンを発光部位としてもち,有機水銀との反応部位としてチオール基をもつ試薬の合成を試みたが目的物質の単離には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
高速液体クロマトグラフィー (HPLC)-トリス(2,2'-ビピリジン)ルテニウム錯体 (Ru錯体) 化学発光法を生体試料中のメチルマロン酸やホモシステインなどの定量に適用するため,共存成分ごとに分離・検出に及ぼす影響を検討し,妨害成分の特定を試みる。その結果を基に前処理法を検討する。新たに高感度検出が可能であることを見出したホモシスチンとホモシステインの同時定量について検討する。 更なる文献調査を行い,脂肪族第三級アミンを発光部位としてもち,有機水銀との反応部位としてチオール基をもつ試薬の合成法を再検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を計画に沿って進めた結果,年度中に使用する必要のない残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
薬品,ガラス器具,高速液体クロマトグラフ用カラム等の消耗品費,学会等における成果発表のための旅費,論文の別刷り代として使用する予定である。
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