研究実績の概要 |
国設新潟巻酸性雨測定局においてアクティブ型捕集器(フィルターパック)によるガスおよび粒子状物質の24時間もしくは1週間ごとのサンプリングを行い、各測定値の時間変動、相関プロットの一致性により実大気測定への適応性を検証した。 オゾンに関しては1週間平均値が春季と秋季に高く、冬季に低い季節変動が見られた。自動測定機との相関に関しては、気温および相対湿度の影響を受けず良好な一致を示しており、通年を通して実大気測定に適応できることを示した。二酸化窒素および揮発性有機化合物については室内実験の検討が必要であり、実大気測定は実施しなかった。 粒子状物質については、季節毎に捕集した試料の成分分析を行い、統計解析による発生源寄与の評価を行った。PM2.5の日平均濃度は4.2-33.4μgm-3の範囲であり、日本の大気環境基準を下回っており、主成分はSO42-, NO3-, NH4+, 有機炭素、元素状炭素であった。他の地点と比較すると新潟の方はNO3-, 元素状炭素濃度が低く、周辺の固定発生源、自動車起源の影響が少ない田園地域の特徴が見られた。 統計解析によるPM2.5発生源寄与の評価を行った所、海塩(10.3%), バイオマス燃焼(22.2%), 土壌粉じん(13.2%), 二次粒子(44.4%)が主要な起源であることを示す結果が得られた。後方流跡線と組み合わせた解析による発生源地域の特定を行った所、海塩は日本海側沿岸、二次粒子は西日本の影響を強く受けており、バイオマス燃焼は秋季に、土壌粉じんは冬季に中国東北部からの長距離輸送の影響を受けていることが示された。また、首都圏からの影響は気圧配置および中部山岳の地形の影響によりほとんど見られなかった。これらの特徴は西日本地域で行われた同様の研究と異なる結果であり、東日本地域におけるPM2.5の影響評価を行う際に重要な知見を示すものと思われる。
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