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2015 年度 実績報告書

エピジェネティック修飾と分子シャペロンによるレトロトランスポゾンの制御機構

研究課題

研究課題/領域番号 25503003
研究機関九州大学

研究代表者

一柳 健司  九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70401560)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードレトロトランスポゾン / 生殖細胞 / エピジェネティクス / 小分子RNA / 熱ショックタンパク質 / 減数分裂
研究実績の概要

レトロトランスポゾンは転移によって変異を誘発するゲノム内在因子であり、通常は種々のエピジェネティック制御を介して発現が抑制されている。次世代にゲノム情報を伝える生殖細胞ではその制御が特に重要である一方、生殖細胞は大規模なエピジェネティック・リプログラミングを経るため、その時にレトロトランスポゾンがどのように制御されているのかを理解することは重要である。そこで、DNAメチル化と小分子RNA(piRNA)による制御機構を理解するため、DNAメチル化異常変異体(Dnmt3L KO)とpiRNA合成不全変異体(Pld6 KO)のマウス雄性生殖細胞でのレトロトランスポゾン制御を大規模シーケンサーを用いて解析した。その結果、piRNAはL1を除いてほとんどの因子のDNAメチル化導入に関与しないが、、前駆精原細胞で多くのレトロトランスポゾンを転写後レベルで抑制していることを明らかにした。一方、前駆精原細胞ではDNAメチル化による発現制御は無視できるレベルであった。しかしながら、出生後、減数分裂の時期に入るとDNAメチル化異常により多くのレトロトランスポゾンの発現が上昇することを突き止め、胎児期には転写後抑制が主たる制御機構であったのが、その後、転写レベルでの制御機構にスイッチすることを明らかにした。
次に、分子シャペロンの一つである熱ショックタンパク質HSP90αの欠損変異体を解析し、この変異体は前駆精原細胞でL1のタンパク質が高発現することを明らかにした。mRNAレベルでは変化はなかったので、HSP90は転写後レベルでの制御に重要であることを意味する。前駆精原細胞でのpiRNAを解析したところ、変異体ではpiRNAの合成異常が見られ、そのプロファイルから、piRNAがMiliやMiwi2といったpiRNA結合タンパク質にローディングされるプロセスが阻害されている可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Chd5 regulates MuERV-L/MERVL expression in mouse embryonic stem cells via H3K27me3 modification and histone H3.1/H3.2.2016

    • 著者名/発表者名
      Hayashi, M., Maehara, K., Harada, A., Semba, Y., Kudo, K., Takahashi, H., Oki, S., Meno, C., Ichiyanagi, K., Akashi, K. & Ohkawa, Y.
    • 雑誌名

      J. Cell. Biochem.

      巻: 117 ページ: 780-792

    • DOI

      10.1002/jcb.25368

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Epigenome evolution in primates2015

    • 著者名/発表者名
      Kenji Ichiyanagi
    • 学会等名
      第38回日本分子生物学会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2015-12-02 – 2015-12-02
    • 招待講演
  • [学会発表] 熱ショックタンパク質はマウス雄性生殖細胞においてレトロトランスゾンを制御する2015

    • 著者名/発表者名
      一柳健司, 一柳朋子, 小川阿弥子, 宮川さとみ, 仲野徹, 中馬新一郎, 佐々木裕之, 鵜殿平一郎
    • 学会等名
      第87回日本遺伝学会
    • 発表場所
      仙台
    • 年月日
      2015-09-26 – 2015-09-26
  • [学会発表] Transcriptional and post-transcriptional regulation of retrotransposons in developing male germ cells in mice2015

    • 著者名/発表者名
      Kota Inoue, Kenji Ichiyanagi, Kei Fukuda, Michael Glinka and Hiroyuki Sasaki
    • 学会等名
      FASEB meeting
    • 発表場所
      米国フロリダ州
    • 年月日
      2015-06-14 – 2015-06-14
    • 国際学会

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公開日: 2017-01-06  

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