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2013 年度 実施状況報告書

腸管コレステロール吸収制御機構の新規パラダイムの提唱と検証

研究課題

研究課題/領域番号 25504013
研究種目

基盤研究(C)

研究機関埼玉医科大学

研究代表者

中野 貴成  埼玉医科大学, 医学部, 講師 (20406474)

研究分担者 竹中 康浩  埼玉医科大学, 医学部, 研究員 (20586789)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードコレステロール吸収制御 / 膜ホメオスタシス / 細胞内輸送
研究概要

飽食や高齢化により高脂血症の患者数は近年増加の一途をたどっている。従って腸管コレステロール吸収制御機構の解明は、高脂血症を対象とする臨床栄養学・予防医学の実用面での発展に不可欠な要素である。
コレステロール吸収に関するこれまでの実験結果、その解釈には矛盾があった。申請者はそれらの矛盾を解決できる新たな吸収制御システムを着想した。すなわち、コレステロールは透過で細胞膜に取り込まれる。その先はNPC1L1(Niemann-Pick C1 Like 1)タンパク質(微絨毛に発現するコレステロール輸送分子)により細胞内の膜輸送システムへ渡される、もしくはATP依存排出ポンプタンパク質(ATP-binding cassette G5/G8; ABCG5/G8)で逆方向の管腔側に排出される。その排出により体内へ吸収するコレステロール量を調節している、というものである。本研究の目的は提示する吸収と排出に関わる分子の動的な連携を証明し、提唱するシステムの検証を完成させることである。
野生型マウス(C57BL/6J)を用いた実験では腸管からのコレステロールの排出効率は細胞内への輸送タンパク質NPC1L1の阻害を強めるに従って増え、吸収効率と逆相関する結果をすでに我々は得ていた。つまり細胞膜へ流入(透過)したコレステロールが細胞内に輸送されるか、管腔内へ戻されるかでコレステロールの実質的な吸収量が動的に制御されていることが予想された。
コレステロールの排出経路としてABCG5/G8が働いていることを確認するため、当該遺伝子を欠損したマウスを導入し、同様に一連の試験を行ったところ、NPC1L1阻害による排出亢進は消失した。この結果はABCG5/G8が食後のコレステロール吸収時に調節因子としての役割を担っていることを示唆し、また我々が提示するモデルに合致する結果であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

提示するコレステロール吸収制御機構の主要経路に関する検証はABCG5/G8欠損マウスを用いた一連の検討により、ほぼ検証を終えた。さらに我々はコレステロール吸収制御とカイロミクロンの合成との関連にも着目し、その食後高脂血症との直接的な関連も平行して検討を進めている。さらには本制御機構を非コレステロール性ステロール(例えば植物ステロール)の吸収制御機構にも適用し、腸上皮細胞がどのようにステロール種を識別しているかについての応用研究にも着手している。

今後の研究の推進方策

腸管コレステロール吸収制御機構の解明は、高脂血症を対象とする臨床栄養学・予防医学の実用面での発展に不可欠な要素である。しかしながら、その制御システムは未解明のままとなっている。本研究による提唱するコレステロール吸収制御機構の証明によってその上皮細胞における取込みレベルでの調節が明らかとなった。
さらに我々はコレステロール吸収制御とカイロミクロンの合成との関連や、非コレステロール性ステロール(例えば植物ステロール)の吸収制御機構について腸管コレステロール吸収制御機構を適用しながら解明していきたい。

次年度の研究費の使用計画

マウスの繁殖が想定よりも効率よくできたため、飼育費が予定より少なくなった。
今後もマウスは繁殖させ多様な実験に用いる予定であることから飼育費が予定よりも多くなると予想される。その増加分に充当予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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