研究課題/領域番号 |
25504020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
荒木 優 産業医科大学, 医学部, 講師 (20620553)
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研究分担者 |
尾辻 豊 産業医科大学, 医学部, 教授 (30264427)
鈴木 義之 産業医科大学, 医学部, 助教 (40644018)
津田 有輝 産業医科大学, 医学部, 助教 (50525491)
園田 信成 産業医科大学, 医学部, 講師 (90299610)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 多価不飽和脂肪酸 / 冠動脈ステント / 血管内超音波法 / 光干渉断層法 |
研究概要 |
本研究の目的は現在未解決である冠動脈疾患に対するステント治療の問題点 (再狭窄と遅発性ステント血栓症) が、多価不飽和脂肪酸 (EPA) の経口補給によって改善するか否かを血管内超音波法 (IVUS) や超音波組織性状診断法 (IB-IVUS) さらに光干渉断層法 (OCT) を用いて評価し検討することである。冠動脈疾患に対してステント治療を行う症例を対象に脂質降下治療を開始し (ストロングスタチン群、ストロングスタチン・EPA併用群の2群を比較)、ステント留置時と慢性期における冠動脈内ならびにステント前後のプラーク・ボリューム、また新生内膜組織性状、さらにステントストラットを覆う新生内膜を評価して治療の有用性ならびに長期予後改善効果について検討した。途中経過の段階ではスタチン単独群とスタチン・EPA併用群で血中EPA濃度はそれぞれ70.5, 171.1 (μg/mL)と有意に併用群が高い値であった。しかしグレースケールIVUSの比較ではプラークエリアは2.13, 1.68 (mm2) とEPA併用群で少ない傾向ではあったが有意差はなかった。さらに組織性状診断IB-IVUSの検討でも線維成分が57.9, 55.3 (%)、脂質成分が18.3, 15.9 (%)とわずかにEPA併用群の方がプラーク安定化の点で勝る結果であったが有意差はなかった。現在は予定症例数の3分の1程度の段階であり、今後症例数を増やすことによって両者間に有意な差が現れる可能性がある。両者の差が認められた場合は冠動脈ステント治療におけるEPA治療の有効性が証明されることとなり、治療ガイドラインの転換が求められる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定症例数はスタチン単独群50例、スタチン・EPA併用50例である。現在は予定症例数の3分の1程度の段階であり17例での解析で上記の結果であった。
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今後の研究の推進方策 |
現在のペースで症例の積み上げを行えば、予定症例数は達成できると考えられるが、仮説の「冠動脈ステント治療の際、ストロングスタチンにEPAを併用することで、DESにおいては再内皮化障害を改善させ、BMSにおいては新生内膜の過剰増殖を抑制し、さらにはステント前後の冠動脈に対してもプラーク安定化作用がもたらされる。」という結論を得るためにはIVUSやOCTパラメータ上で2群間の有意差が欲しい。そのためには予定症例数を上回るエントリーが必要かもしれない。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究初年度は予想より物品が消費されなかった。 2年度以降は物品消費のペースが上がると思われる。
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