研究課題/領域番号 |
25504021
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
西川 可穂子 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 講師 (20345416)
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研究分担者 |
阪本 敏久 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 病院, 教授 (50178571)
関 修司 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 教授 (80531392)
木下 学 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (70531391)
岩屋 啓一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 医学教育部医学科専門課程, 准教授 (50312012)
小野 聡 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, 防衛医学研究センター, 准教授 (30531355)
藤原 葉子 お茶の水女子大学, その他部局等, 教授 (50293105)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | レスベラトロール / クッパー細胞 / 脂肪肝 / 脂肪滴 |
研究概要 |
本研究は、レスベラトロール(Res)の脂肪肝改善効果の機序について検討することを目的とする。現在までに以下の点について知見が得られた。 1)Resにより抑制されるタンパク質ADFP:Resを投与した高脂肪食(HFR)群のマウス脂肪肝では、高脂肪食(HF)群と比較して脂質代謝系タンパク質発現が強く抑制された(プロテオミクス解析)。中でもADFPタンパク質が最も抑制を受けた。ADFPは、脂肪滴膜の主要なタンパク質のひとつである。ADFP抗体を用いた免疫染色では、脂肪滴の多いHF群ではADFP陽性反応が多く、HFR群では減少していた。脂肪滴膜の減少がADFPタンパク質の発現抑制の主要因であることが示唆された。 2)脂肪滴膜タンパクADFPを貪食するクッパー細胞:ADFP抗体とクッパー細胞のマーカーCD68抗体を用いて脂肪肝の免疫染色を行った。CD68陽性クッパー細胞とADFP陽性タンパク質が重なりあうスポットがHFR群で観察され、クッパー細胞がADFPを貪食している可能性を示唆した。 3)Resのクッパー細胞の機能変化:フローサイトメトリー解析およびマーカー抗体を用いた免疫染色により、HFR群では主に貪食作用を担当するCD68陽性およびF4/80陽性クッパー細胞が増加し、炎症性サイトカインの産生が低減した。 4)脂肪滴サイズの縮小効果:Res投与により、脂肪滴膜のサイズを縮小化させる効果も明らかとなった。その際、脂肪滴内に蓄積される中性脂肪種の脂肪酸構成やグリセロール骨格への結合部位等の構造変化は生じておらず、脂肪の量的軽減効果を伴うものの中性脂肪種の質的な変化への影響はなかった(質量分析計による解析)。 Resは脂肪蓄積量を減少し、脂肪滴サイズを縮小化させることにより脂肪肝改善効果を表した。この効果は、増加したクッパー細胞による脂肪滴膜の貪食が寄与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的に沿った研究の実施が行われ、新たな知見を得ることができた。次年度に予定した質量分析計を用いた解析も進み、論文公表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
申請時には、レスベラトロールの脂肪肝への効果について、EPAやビタミンE等のレスベラトロール以外の機能性食品を用いたモデルと比較し検討する計画であった。 しかし、今年度の研究で得られた知見をより深く検討するため、今後の研究推進方策について変更を加えることとしたい。 今後は、レスベラトロール以外の機能性食品等の効果の検討に優先して、レスベラトロールのクッパー細胞への影響と脂肪肝改善効果について焦点を絞る。 1.レスベラトロール投与によりCD68陽性F4/80陽性クッパー細胞がなぜ増加するのか。レスベラトロール投与した肝臓から分離したクッパー細胞の詳細を解析する。 2.脂肪滴膜の縮小化がなぜ生じるのか。レスベラトロールの脂肪滴膜構成成分への影響を質量分析計を用いて検討する。その変化が脂肪滴の減少に寄与しているかについての詳細を検討していく。 以上の検討をすすめ、レスベラトロールの脂肪肝改善への新しい知見を得るために研究課題を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
一つは、国際学会発表への発表が予定どおりに実施できなかったため、旅費に充当していた部分が消化できなかった。二つ目は、論文発表が年度末となり、論文発表公表のための費用(英文校正・投稿費用等)が年度内に請求できなかったためである。 今年度は、昨年発表予定としていた国際学会での発表を行う。また、昨年度末に発表した論文の投稿費用は昨年度の会計の締めの後に請求が来たので、それに割り当てる予定である。
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