間葉系幹細胞 (MSC) は、多分化能をもち、試験管内にて増殖可能かつ腫瘍原性の低い幹細胞である。すでに臨床に応用されているが、高齢者からの分離効率の低さなど、解決すべきいくつかの問題点が存在する。それらの問題点を克服するために、本研究では1)MSCをiPS細胞より誘導する方法の確立、2)誘導したMSCの疾患モデルでの効果の検討、を目的とする。本研究では、1)誘導したMSCは脂肪、軟骨、骨細胞への分化能を持つこと、2)皮膚潰瘍や肝障害線維症モデルに治療効果をもっていることを、明らかにした。これらの結果は、ヒトiPS細胞由来MSCが、将来の治療ツールの候補として有用であることを示唆している。
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