研究概要 |
HDFをknockout DMEM (低浸透圧、高glucose) と20% knockout serum replacement (KSR) 培地でIL-1β並びにerythropoietin添加1週間培養し、その遺伝子発現の変化を観察したところ、CD34, G-CSF receptor, CD13, VEGFR type-3, SCLなどの発現が誘導された。形態変化は確認されなかった。そのため、培養液にantihuman VEGF-C抗体を添加して同様に遺伝子変化を観察し、GATA-1, GATA-2, CEBPaといった転写因子の発現亢進を確認した。しかし細胞の形態はfilamentousなままで造血幹細胞様のものではなかった。報告によれば造血幹才能は血管内皮様細胞からVEGF-Aの刺激の下で浮遊細胞として分裂してくることが確認されている。そのため、何らかの刺激を加えて形態的変化が生じるかどうかを観察した。種々の刺激の中で電気刺激(110V 20ms)をカルシウム、マグネシウムイオン存在下で行ない、その後血清添加、各種増殖因子(stem cell factor, insulin-like growth factor, interleukin-6, FLT3-ligand, VEGF-A)を添加、培養を行なうと一部のHDFから浮遊細胞の分裂が認められた。この系に対し、現在各種条件の設定を行ない、trichostatinやHiston de-acetylase inhibitorの影響を観察している。また、新たに発現してくる受容体に着目し、至適な培養条件(補充すべきgrowth factorや情報伝達遺伝子を誘導するための培養条件)を決定中である。至適条件を決定後、生成した細胞を用いてコロニー形成能や増殖因子依存性などHSCの細胞生物学的特性をin vitro系において評価する予定である。
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