研究課題/領域番号 |
25510023
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪樟蔭女子大学 |
研究代表者 |
瀬々倉 玉奈 大阪樟蔭女子大学, 心理学部, 准教授 (00243353)
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研究分担者 |
伊藤 篤 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20223133)
辻 弘美 大阪樟蔭女子大学, 心理学部, 教授 (80411453)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 母子保健における心理職 / 訪問事業と心理職 / 心理職と他職種との協働 |
研究概要 |
本研究は、これまで医療・保健職を中心に活発な活動が展開されてきた母子保健領域において新たな課題となっている「子育ち・子育て支援」に、心理職がいかに貢献し得るか、特に、家庭訪問事業に焦点を当てて検討するものである。 「健やか親子21」開始時の【2001年度調査】、及び当初の終了予定年度の【2011年度再調査】に実施した心理職の役割に関する全国調査結果からは、以下の結果を得ている(瀬々倉.2013)。①保健センターに関わる心理職の割合は、10年間で増加しているにもかかわらず、常勤心理職の割合は、むしろ減少していること。②保健センターにおける訪問事業のうち「養育支援訪問事業」については、他の訪問事業に比して、現に心理職が関わっている割合が高く、保健師・心理職ともに、将来的にも心理職が関わる必要があると考えている割合が高かったこと。この調査結果をもとに、本年度は以下の研究・発表を実施した。 1.兵庫県下における家庭訪問事業に関する実態調査結果を検討・発表(研究協力者;寺村、研究分担者;伊藤、研究代表者;瀬々倉):上述の全国調査の結果からは、「養育支援訪問事業」への心理職の関わりの必要度は高いと考えられたが、兵庫県下で心理職が関わっていることが明らかな自治体は認められず、いずれの訪問事業についても、殆どが保健師・助産師などの保健・医療職のみによるものであった。なお、2014年度は、量的調査の結果では把握し切れなかったその他の訪問者のうちに、心理職が含まれているのか否かなど、個別の聞き取り調査を実施中である。 2.保健センターにおける援助事例の検討・発表(瀬々倉):母子保健事業をフル活用して援助した親子の事例研究・発表を通して、他職種と心理職との協働の必要性、保健センターにおける親子支援への心理職による貢献の可能性について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度にアメリカにて現地調査及び学会発表を予定していたが、当該学会の開催地が日本国内に変更されたことから、研究計画の変更を余儀なくされた。従って、これまでに実施してきた調査結果のうち、家庭訪問に関係する項目に特化した分析・検討及び学会発表を中心に行った。 さらに、2014年度に予定していた個別援助事例の一部については、検討・学会発表を予定年度に先んじて実施した。 なお、当該年度の成果の一部については、2014年度中に関係学会誌等に研究論文として投稿予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度については、当初の予定通り、イギリスで以下の研究・調査を実施する。 1.兵庫県下の子育て支援を目的とした訪問事業の実態について、2013年度の調査結果を基に個別の聞き取り調査を実施。2.イギリス北部(エジンバラ)にて開催される国際乳幼児精神保健学会において、これまでの研究成果を発表。3.エジンバラにて開発され、日本における「乳児家庭全戸訪問事業」において活用されている「エジンバラ産後うつ病質問票」の作成の背景などについて、関係者にインタビュー調査を実施予定(瀬々倉)。4.イギリス在住でホームビジティングサービスを享受した経験のある臨床心理士への対話形式によるインタビュー調査。5.サウサンプトンの子育て支援施設における視察・調査。6.サセックス大学教授に協力を得て、サセックスの子育て支援施設の視察、家庭訪問支援に関する情報収集、インタビュー調査などを実施(瀬々倉・伊藤・寺村)。 2015年度以降についても、研究計画に沿いながら、より発展的に研究調査を実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度にアメリカにおいて成果発表、及び、現地調査を予定していたが、当該学会の開催地が日本に変更となったため。急遽、予定とは異なる国内学会にて成果発表とするなど、計画を一部変更した。 2014年度(6月)に実施を予定しているイギリスでの学会発表、及び現地調査、その他、実施計画に沿って使用する。 なお、イギリスでの調査については、当初北部のみを想定していたが、南部での調査が可能となったため、旅費の増加分等に「次年度使用額」をあてる予定である。
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