日本の伝統家具調度類に関しては、高位の人々の生活、儀礼のために必要とされていた道具の構成とその歴史的変遷について、明治期雛形本を新たに対象に加えて分析した。結果、道具の種類、構成、寸法、材料、形態などの特徴を明らかにするとともに、素材としてのガラスの多用や意匠上の色付けの指示に関する記述を明らかにして、明治時代の家具調度類の意匠的あるいは技術的な指示として特徴的であることを指摘した。また、明治時代の家具調度類の雛形本の記述では、近世以前を踏襲した和の道具(例:曲ろく・硯箱・鏡台等)と、西洋から維新後に導入した家具(テーブル・椅子・寝台等)、さらにもとは西洋家具でないものの明治時代に新たに日本人の生活にとりいれられたと考えられる家具(ハイラズ・シッポク台)などが認められ、和洋の道具家具が混在する様相が明らかになった。中国および韓国の伝統家具調度類については書籍資料を中心に16-19世紀の貴族住宅における建築室内の意匠と目的に応じて場面ごとに使用される家具調度類に関する情報収集を行った。
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