移民国家となった現代イギリスにおける移民系女性アーティストの創作、展示等の活動を、1980年代から現在までを対象として研究した。1990年代半ば以前はいわゆる「ブラック・アート運動」の一画を担っていたので、3期に区分したブラック・アート運動の政治的、文化的な流れのなかに彼女たちをブラック・アーティストとして位置づけた。 1990年代半ば以降は、グローバリゼーションの進展と移民出自の多様化もあって、「ブラック・アート」の概念には収まらない別種の動機から創作する者も登場する。それでも移動の経験と周縁化、他者化の経験は共通しており、既存の文化的秩序に対する挑戦を作品に読めることを示した。
|