平成28年3月に『「旧ソヴィエト連邦における宣伝印刷物の文化学的研究」報告書』を刊行し、その中で、平成26年度から継続していた旧ソヴィエト連邦の宣伝グラフ誌『ソヴィエト連邦建設』(全134号中、松本瑠樹コレクションの計117号)の調査に基づく「『ソヴィエト連邦建設』の文化学的研究ノート(1)」を発表しました。研究期間全体の実績概要とその意義は下記のとおりです。
平成25年度前期には松本瑠樹コレクションのポスターの文字情報をデータベース化し、10月に、その最初の成果を「松本瑠樹コレクション ユートピアを求めて ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴィエト・モダニズム」展およびその展覧会図録で報告しました。この中で、検閲情報からポスターの制作年代を推定する手法を提示しました。11月には講演「ロシア/ソヴィエトのポスターの展開 1900‐1933」を行いました。 平成26年度前期から松本瑠樹コレクションの『ソヴィエト連邦建設』の画像データ化を始めました。11月には、前年度の研究を補足する内容の講演「ロシア・アヴァンギャルドと国家」を行い、3月に松本瑠樹コレクションおよび東京国立近代美術館フィルムセンターの袋一平コレクションのポスターに関する研究論文を『神奈川県立近代美術館年報2013』に発表し、ポスターに関する分野横断的研究をまとめました。本研究を通して、袋一平コレクションのデータが補正されました。 平成27年5月には、松本瑠樹コレクションおよび袋一平コレクションのポスターに関する調査データを公開しました。平成28年3月には『ソヴィエト連邦建設』に関する研究ノートと同誌の刊行データを上記研究報告書に掲載しました。この刊行データは日本語による初めてのもので、今後の同様の研究に貢献するものと考えます。
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