研究課題/領域番号 |
25512003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
鈴木 克彦 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (10115983)
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研究分担者 |
阪田 弘一 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (30252597)
大坪 明 武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (70434933)
鈴木 在乃 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (20467442)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 住民主体 / ストック再生 / 住宅団地 / リソース循環活用 / 合意形成 / 意思決定支援システム |
研究概要 |
再生期を迎えた住宅団地において、団地リソース循環活用型再生への誘導が可能となる意思決定支援システムを構築することを目的に、本年度は次の成果を得た。1.向ヶ丘第一団地でのストック再生実証試験で得られた施工性、コスト、法対応、生活検証などの様々な検証成果を、再生手法ごとに整理・分析し、①社会、②経済、③資源、④環境の4つの評価領域ごとに持続可能型社会としての達成度の総合評価を行うことができる「ストック再生効果診断システム」を住民の合意形成に寄与するツールとして開発した。2.実在する住宅団地において、団地住民と協働して団地再生に向けての課題を発見することを目的としたワークショップを継続的に実施した。また、住民意向を把握するために実施したインタビュー調査やアンケート調査の傾向を分析した。その結果、多様な住民意向を反映させるためには棟別再生が有効であることが明らかになった。3.ストック改修実験の参考事例として住戸改修の先行事例を調査し、ゼロエミッション化に向けたストック再生の可能性を検証した。4.団地再生マネジメントの仕組みとして英国での先進事例を明らかにし、団地リソ-ス循環活用に向けたマネジメントシステムの基本フレームを見出した。5.棟別再生に向けた意思決定支援には住民参加型のコーポラティブ住宅における意思決定の仕組みが重要であるとの認識に至ったことから、コーポラティブ住宅での再生の取り組みについて調査し、合意形成の特徴について明らかにした。6.多様な住民要求を踏まえた合意形成の支援システムを検討する上での関連研究として、ルールづくりで持続可能な住環境保全に取り組む建築協定地区での取り組みや、多文化共生の視点から外国人の居住適応実態についても特徴を明らかにした。また、古民家の保存活用に対する所有者や一般市民の意識の特徴も明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
持続可能型社会としての達成度の総合評価を行うことができる「ストック再生効果診断システム」が、団地再生に向けた目標像の具体化と合意形成に寄与するツールとして機能する可能性が見いだせた。また、リソース循環活用型ストック再生に資する意思決定支援システムの構築に資する先進事例の分析を行い、マネジメント手法の基本フレームが見出せた。これらの成果により、多様な住民要求を反映した意思決定支援システムの構築のためには、棟別再生を前提とした仕組みの確立が重要であることが明らかになった。ただし、リソースの循環活用に配慮した住戸改修実験については、住宅所有者の都合により次年度に実施することになった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、国内外における先進事例をさらに収集し、住民の意思決定支援に有効に資する仕組みを明らかにするとともに、住民を交えてストック再生に向けての取り組みを継続的に行って検証していく。また、実在する住宅団地で実施する住戸改修実験の成果も十分に活用し、リソース循環活用型ストック再生に向けた住民評価と有効な意思決定支援システムのあり方について検討していく。ただし、住宅管理組合の協力が必要な研究については、区分所有者の了解を踏まえて慎重に進めていく必要があり、スケジュール変更の可能性が残されている。
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次年度の研究費の使用計画 |
実在する住宅団地において団地リソースの循環活用に配慮した住戸改修実験を実践する予定であったが、住宅所有者の事情により次年度に実施することになった。 住戸改修実験の実施に伴う改修工事関連費及び居住実験と検証に係わる経費として使用する。
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