研究課題/領域番号 |
25512005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
檜谷 美恵子 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (60238318)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 高齢者住宅 / フランス / 社会住宅 / 分譲共同住宅 / オルタナティブハウジング |
研究概要 |
国内外で関連する既往文献を収集し、以下の動向を把握した。 ①住宅統計調査結果から、フランスでは、高齢者が郊外の戸建住宅から都市の共同住宅へと向かっていることがわかった。この動きは、高齢者が加齢にともない必要なケアサービスやサポートのみならず、日常生活の利便性を重視していることを示唆している。②フランスではこれまで、要介護状態になると、老人ホームなどの施設に入所することが一般的であったが、高額所得者向けのものを除けば、その水準は高くはない。このため、可能な限り長く自宅にとどまることを指向する高齢者が多く、これを支援することが政策課題となっている。バリアフリー化はもちろんのこと、身体機能が虚弱化した段階で必要となる生活支援機能やケアサービスの確保が課題と捉えらえていることは日仏に共通する。③フランスの共同住宅には、民間のそれと社会住宅があるが、民間で高齢者住宅として注目されているのは分譲共同住宅である。社会住宅部門では高齢者の居住継続支援が課題となっている。社会住宅は低廉な家賃で利用できる住宅を供給しているという点で、低所得高齢者にとって、低水準の民間賃貸や老人ホームに対する有力な選択肢である。⑤社会住宅部門ではその一部で、高齢者向けのグループリビングを供給するという試みが行われている。その背景として、社会住宅制度の運用現場で、国に対する地方の役割が高まっていること、それが結果として柔軟な制度運用につながっていると推察される。⑦日本はフランスより早く公共住宅で高齢者対応を進めてきた。また民間によるサービス付高齢者向け賃貸住宅の供給を支援している。しかし、一部で試みられたコレクティブハウスなどの新しい住まい方提案は必ずしもうまくいっていない。また高齢者向けの分譲共同住宅については、これを積極的には推奨していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
フランスについては、文献収集とその読み込みは順調にすすんでいる。また、在宅高齢者に関する統計データも入手、分析済で、傾向を把握した。しかし、オランダについては、OECDやEUのデータから得られる状況を把握するにとどまっており、限定的である。実験的な取り組み事例の収集は、実現していない。また、全般に収集した資料、データの分析が予定より遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、オランダの研究協力者と打ち合わせを行い、オランダにおける高齢者居住の動向、とくにオルタナティブリビングと目される社会住宅プロジェクトを中心に、現状と課題を把握する予定である。 また、フランスについては、すでに把握している情報をもとに、現地でより詳細な状況把握を行う。
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