研究課題/領域番号 |
25512005
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
檜谷 美恵子 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (60238318)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 高齢者向け住宅 / 社会住宅 / オランダ / フランス / ケアと住宅との連携 / 住宅確保要配慮者 |
研究実績の概要 |
1)フランス、オランダにおける高齢者・障碍者福祉の動向や特定層向け住宅の現状を探るため、文献調査及びステークホルダーへの聞き取り調査等を行い、次の5点を把握した。①オランダでは、2011年に社会住宅制度の運用規則が改定され、所得制限の対象外となった高齢者・障碍者向け住宅への関心が高まっている。また、②高齢者をめぐる医療、福祉制度の見直しがすすむなかで、在宅福祉を促進する動きが強まり、住宅とケアの連携方法や居住継続を担保する仕組みが探られている。他方、フランスでは、③居住者の高齢化に対応するための住宅改修が進みつつある。また、④自立高齢者の受け皿として、サービスコストを抑制する共助型の社会賃貸住宅の開発が試みられている。⑤一方で、1970年代以前に建設された高齢者向け施設への需要が、高齢者の長寿化・単身化を背景にして、近年、再び増大している。 2)フランス、オランダ、日本の社会住宅制度の現状と課題を探り、次の3点を把握した。①公的支援・規制の対象となる社会住宅は、低所得高齢者の居住の受け皿として機能している。②とくに社会賃貸住宅のシェアが突出しているオランダの高齢者住宅の水準は他の2国より高い。オランダでは、ケアと住宅との連携というテーマに意欲的に取り組んでいる住宅協会が多数存在し、ケアサービスの拠点施設を包摂する要支援高齢者の住宅供給を行っている。③フランス、日本では、孤立高齢者の社会包摂と居住の安定確保が課題と認識されており、社会賃貸部門でもその改善を目指す取り組みが行われている。ただし、現状では高齢者の居住に適したアフォーダブルな賃貸住宅が乏しいなど、課題を有している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オランダ、フランスでのステークホルダー調査により、両国の社会住宅制度が高齢者・障碍者の居住の安定確保に果たしている役割の一端を分析、把握できたが、収集できた統計資料が乏しく、定量的データの分析はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
主として、フランス、オランダにおける事例調査をすすめる。また、高齢者・障碍者の居住の安定確保の観点から、社会住宅制度の現状と課題を総括するとともに、事例研究を交えながら、日本の状況と比較、考察する。それらをあわせた3年間の研究成果をまとめる。
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