オランダの社会住宅部門は高齢者の居住の安定確保に大きな役割を果たしてきた。事業主体は、高齢者向けの住宅供給実績が豊富で、民間事業者に対する比較優位性をもち、ケア事業者と連携して、良質な高齢者向け住宅を、インフォーマルなケア環境の構築に配意して整備している。フランスでは虚弱化した高齢者の受け皿となる高齢者向け住宅が乏しく、社会住宅組織が近年、世代間協力を促す共同住宅など新たな居住モデルを開発している。両国は、虚弱高齢者を地域で支える、介護等に要する財政負担の持続可能性を追求するという方向性のもと、住宅の役割を重視し、社会住宅制度を活用して、高齢者等の居住の安心を支える地域住環境を整備している。
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