研究課題/領域番号 |
25512008
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
新井 健 東京理科大学, 理工学部, 教授 (60126266)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 空間利用 / セルオートマトン / 政策評価 |
研究概要 |
本研究は、地方自治体の行政区域を対象とした都市計画施策の評価への適用を意図した、街区単位の土地利用変化の長期シミュレーションモデルの開発を目的としている。具体的な研究課題は、(1)既成市街地内での土地利用の高度化と周辺地域での市街化の過程を表現するための、セルオートマトンの概念を基礎とした、街区単位の空間利用動態モデルの構築、および、その基礎となる(2)街区(100メートル四方)単位の空間利用変更ルールの推定手法の開発、に集約される。 平成25年度には、主に課題(1)に重点を置いて研究を進めた。 周辺地域での市街化の過程のモデル構築研究では、日本国内の複数の地方中心都市を対象にして、「国土数値情報」所載の統計資料を使用した解析を行い、ある未市街化街区の10年後までに市街化する頻度は当該街区の近傍8街区の初期時点の市街化割合の線形式で表されること、などが確認され、成果の一部を国際学会(CUPUM2013)で報告した。 既成市街地内での土地利用の高度化の過程を表現するためのモデル構築研究では、千葉県内のある都市を対象とした、個々の住戸の所有者の高齢化等が原因での転出・死亡に伴う空家化の過程を表現する微視的モデルを作成した。これは、戸建て住宅・敷地の所有者が高齢化・退去し、敷地が分割され複数の小規模住宅へと変わる高度化過程のモデルの主要部であり、成果の一部は、日本都市計画学会報告集で公表した。 課題(2)については、関連学会での過去の報告・論文を対象に、既成市街地内での土地利用の高度化と周辺地域での市街化の過程に関連して解明された因果関係を抽出する作業を進行中であり、また、ロールプレイゲームを応用した住宅・土地所有者の意思決定要因に関する実験調査については、課題(1)の土地利用の高度化の過程のモデルの構築作業と並行して進めているが、両者についての中間成果は未公表である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、地方自治体の行政区域を対象とした都市計画施策の評価への適用を意図した、街区単位の土地利用変化の長期シミュレーションモデルの開発を目的としている。具体的な研究課題は、(1)既成市街地内での土地利用の高度化と周辺地域での市街化の過程を表現するための、セルオートマトンの概念を基礎とした、街区単位の空間利用動態モデルの構築、および、その基礎となる(2)街区(100メートル四方)単位の空間利用変更ルールの推定手法の開発、に集約される。 平成25年度には、主に課題(1)に重点を置いて研究を進めた。 周辺地域での市街化の過程のモデル構築研究については、成果の一部を国際学会(CUPUM2014)で報告し、既成市街地内での土地利用の高度化の過程を表現するためのモデル構築研究についても、成果の一部を、日本都市計画学会報告集で公表した。 課題(2)については、関連学会での過去の報告・論文を対象に、既成市街地内での土地利用の高度化と周辺地域での市街化の過程に関連して解明された因果関係を抽出する作業を進行中であり、また、ロールプレイゲームを応用した住宅・土地所有者の意思決定要因に関する実験調査については、課題(1)の土地利用の高度化の過程のモデルの構築作業と並行して既に進めているが、両者についての中間成果は未公表である。 以上のように、平成25年度は研究課題の基礎となる部分を固める作業に重点を置いているので、概ね順調に進捗していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、地方自治体の行政区域を対象とした都市計画施策の評価への適用を意図した、街区単位の土地利用変化の長期シミュレーションモデルの開発を目的としている。具体的な研究課題は、(1)既成市街地内での土地利用の高度化と周辺地域での市街化の過程を表現するための、セルオートマトンの概念を基礎とした、街区単位の空間利用動態モデルの構築、および、その基礎となる(2)街区(100メートル四方)単位の空間利用変更ルールの推定手法の開発、に集約される。 平成26年度には、課題(1)の「周辺地域での市街化の過程のモデル構築」研究では、日本国内の政令指定都市を除く県庁所在都市を対象として、国土数値情報等を使用した統計的解析を行う。さらに、例外的な係数値を呈した都市に関しては、実地踏査により詳細な解析を実施する。「既成市街地内での土地利用の高度化の過程のモデル構築」研究では、高齢化による敷地分割+高密度化の過程の実証的調査を、東京都区内地区を対象に実施する。 課題(2)の「関連学会での過去の報告・論文を対象とする、既成市街地内での土地利用の高度化と周辺地域での市街化の過程に関連して解明された因果関係の抽出」研究では、1970年-2000年の資料を対象に抽出・整理・分析を行う。また、「ロールプレイゲームを応用した住宅・土地所有者の意思決定要因に関する実験調査」研究では、学生を被験者とする実験調査により、調査方法の改良を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度では、課題(2)の「関連学会での過去の報告・論文を対象とする、既成市街地内での土地利用の高度化と周辺地域での市街化の過程に関連して解明された因果関係の抽出」研究作業での解析補助者のアルバイト雇用を予定していたが、研究の重点を課題(1)に置いたので、課題(2)の当該作業は試行的作業にとどめた。その結果、謝金予定枠の予算額に次年度使用額(約12万円)が発生した。 次年度使用額は、平成26年度に計画している課題(2)「関連学会での過去の報告・論文を対象とする、既成市街地内での土地利用の高度化と周辺地域での市街化の過程に関連して解明された因果関係の抽出」研究および、「ロールプレイゲームを応用した住宅・土地所有者の意思決定要因に関する実験調査」研究で必要となる謝金に充当する予定である。
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