研究課題/領域番号 |
25513002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒野 定 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招へい准教授 (20271554)
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研究分担者 |
檜枝 美紀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教(常勤) (00380254)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | グライコミクス / グライコプロテオミクス / プロテオミクス / 二次元LC/MS / 絶対定量 / SRM / 安定同位体ラベル |
研究概要 |
乳癌糖タンパク質マーカー候補及びタンパク質マーカー候補の探索実験として、二次元LC/MS/MS法による糖タンパク質及びタンパク質の同定を行った。4種の培養細胞(MCF-10A、MCF-7、MDA-MB-231、及びHeLa細胞)の溶解物及び細胞培養上清、及び新規な乳癌患者及び非癌者の乳頭分泌液(ND)を同法によって測定・解析を行い、これまでの探索研究で見つかっている15種のタンパク質マーカー及び1種の糖タンパク質マーカー(ホルネリン)の計16種について、同定差異解析を実施した。更に、抗ホルネリン抗体固定化磁気ビーズ等を用いた免疫沈降実験を実施し、ホルネリンの分取実験を試みている。また、糖タンパク質4種及びタンパク質15種の乳癌マーカー候補についてそれぞれ国際特許出願を行ったと共に、15種のタンパク質マーカー探索研究結果を論文にまとめ Journal of Proteome Research に投稿した。 候補糖タンパク質及びタンパク質の絶対定量を行うため、質量分析法を用いた絶対定量法の開発を行った。ヨードアセトアニリド(IAA)及びその13C同位体置換IAAを用いて市販タンパク質3種(BSA、オブアルブミン、ラクトアルブミン)の絶対定量法を実施したところ、良好な絶対定量の検量線を作成することができた。また、1種の定量対象タンパク質を多くの種類のタンパク質が存在するND中にスパイクして絶対定量を行ったところ、対象タンパク質を良好に絶対定量することが可能であった。これらの結果を論文にまとめ Journal of Mass Spectrometry に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ND検体の採取数は予想よりも少なかったものの、その代替として培養細胞を用いた糖タンパク質及びタンパク質の測定解析を実施できたため、乳癌マーカー候補の絞込みの検討、及び糖タンパク質の免疫沈降実験等による糖鎖解析の道筋を作ることが出来た。また、国際特許出願2件及び論文投稿2件を実施できたため、研究の進捗はおおむね順調に進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
乳癌患者のND検体の採取数を増やすため、検体採取機関との連携をさらに強めていく。そして、更なる糖タンパク質の網羅的な発現差異解析及び詳細な糖鎖解析を実施し、乳癌腫瘍マーカー候補糖タンパク質の解析を実施する。 また、抗ホルネリン抗体固定化磁気ビーズ等を用いた免疫沈降実験などによりホルネリンを抽出後、ナノ LC(HILIC)-MSn 及び CID/ETD 法並びに糖鎖構造解析ソフトウエア(GlycoQuest)を用いて糖鎖構造及び糖鎖結合位置解析を実施し、乳癌患者検体に特徴的な糖鎖構造を解析する。 糖タンパク質マーカーの簡易アッセイ系の確立に向けて、先行研究で探索した15種のタンパク質マーカーの内未実施なタンパク質のELISA等免疫学的バリデーションの実施に加え、糖タンパク質ホルネリンに対する特異的抗体の作製を試みることにより、臨床検体での臨床評価を行い実用化への道をつける。 腫瘍マーカー候補糖タンパク質及び糖鎖の妥当性の検証及び新規腫瘍マーカーの確定 腫瘍マーカー候補の乳癌病理組織等での発現相関についてその妥当性を検討すると共に、独自に構築した安定同位体ラベル化試薬13C7-IAAを用いた新規な糖タンパク質絶対定量解析を実施し、その両法により新規腫瘍マーカーを確定する。
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