研究実績の概要 |
アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβをソフトなイオン化法であるMALDI 質量分析で測定すると, 分子イオンの他にいくつかのフラグメントイオンが観測される。本研究ではこのフラグメント化の原因を調べるとともに, フラグメント領域から有用な情報を得るため効率的にフラグメント化を生じるマトリックスを検討した。 いくつかのマトリックスにおいてフラグメントイオンの強度を比較するとイオン化エネルギーの小さなものほどc-イオンの強度は大きくなり, 最もイオン化エネルギーの小さな1,5-Diaminonaphthalene (1,5-DAN,イオン化エネルギー 6.7 eV) のとき最大強度のフラグメントイオンが得られ,この質量差から容易にアミロイドβの配列情報が得られた。またイオン化エネルギーの大きなマトリックスではa-イオンが観測され, イオン化エネルギーが大きなものほどフラグメント強度の増大が見られた。
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