タンパク質の翻訳後修飾に関する定量的かつ包括的な知見は、細胞の制御機構を正確に理解する上で重要な情報である。本研究では、プロテオーム間の計量比較で広く用いられている非標識法にデータ解析ソフトウェアの改良版を搭載し、分析システム全体を最適化した。この非標識プロテオミクスシステムを乳癌幹細胞の維持機構の解析に適用した。すなわち、乳癌のモデル細胞で発現している2種類の蛋白質リン酸化酵素の遺伝子をノックダウンすると、細胞の増殖・生存が抑制されるとともに、ノックダウン分子そのものや様々な分子群のリン酸化レベルが有意に減少していることが観測された。
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