研究課題/領域番号 |
25513010
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
中西 豊文 大阪医科大学, 医学部, 准教授 (10247843)
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研究分担者 |
辻 求 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60144466)
田窪 孝行 大阪医科大学, 医学部, 教授 (60163359)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 質量イメージング / アミロイドーシス / 沈着分子 / コンゴレッド染色性 |
研究概要 |
初年度は、病院病理部の協力を得て「アミロイド症」と確定診断されたFFPE病理組織切片を、加熱処理にてタンパク質分子の高次構造を賦活化し、on-tissue酵素消化後、質量イメージング(MSMS)解析/データベース検索にてアミロイド原性タンパク質並びにその異常修飾構造を同定する。同時に、断片化ペプチドの局在性を可視化し、従来の病理組織学的検索結果と比較し本法が従来の病理組織学的検索と相補的に有用である事を明らかにした。 具体的には、25種類のアミロイド原性タンパク質分子の中で、比較的解析容易な免疫グロブリン/β2ミクログロブリン/トランスサイレチンを標的タンパク質分子とし、それら標的タンパク質起因アミロイドーシス患者の病理標本(心筋/肺組織)薄切を作成し、一部はコンゴレッド染色/抗トランスサイレチン抗体・抗免疫グロブリン軽鎖(λ/κ鎖)・抗アミロイドP成分・血清アミロイドA抗体との反応性を明らかにした。また残りは、賦活化/on-tissue酵素消化/質量イメージング解析およびタンデム質量分析/データベース検索にて免疫グロブリンλ鎖およびトランスサイレチンのアミノ酸配列に一致する解析結果が得られた。また、起因タンパク質のOn-tissue酵素消化ペプチドの分子イオンを指標にして、薄切内局在を明らかにした。質量イメージング像(Heat-map)とコンゴレッド/特異抗体陽性部位が一致した。本法は、アミロイド症病理学的確定診断の相補的解析法として有用で有る事が証明出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)「 IMS法によるアミロイド症診断およびその解析法の確立」本学病院病理部の協力の下、FFPE標本を用い、組織切片上での酵素消/断片化ペプチド群のIMS(MSMS)法/データベース検索等にて組織内に沈着したアミロイド原性タンパク質を検出・同定し、診断に寄与する。同時に、標的タンパク質の修飾構造とその組織内の局在性を明らかにする。更に、従来の病理組織学的検索結果と比較検討し、両者が一致する事を明らかにする。 達成度:免疫グロブリン軽鎖(λ鎖)とトランスサイレチン起因アミロイド原性分子を本法にて検出・同定出来た。 2)「 FFPE病理標本中のアミロイド原性TTR分子の異常修飾構造同定」過去10数年間に渡るアミロイド症の診断・病態解析にて見出した「TTR分子のアミロイド原性獲得反応」にて生成する異常修飾TTR分子(還元剤抵抗性)をFFPE病理組織より検出・同定する。更に、in vivoアミロイド誘導化反応を惹起させた心筋/網膜組織切片中より同一の異常修飾構造TTR分子を検出・同定し、アミロイド原性獲得と異常修飾構造との相関性を明らかにする。 達成度:次年度に研究開始 3)「他の全身性/透析アミロイド症起因タンパク質の構造解析」免疫グロブリン(Ig)軽鎖・β2ミクログロブリン(β2MG)などTTR分子以外のアミロイド原性タンパク質分子内にTTR分子と同様、SH基の異常修飾構造が形成されている事を検証する。 達成度:免疫グロブリン軽鎖(λ鎖)起因アミロイド症の確定診断し得た病理標本を用いて解析中
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今後の研究の推進方策 |
FFPE組織切片のアミロイド斑(コンゴレッド染色陽性部位/電子顕微鏡にて針状のアミロイド線維確認部位)部位を新規導入されたレーザーマイクロダイセクション/CHIP1000にて採取し、プロテオーム手法にてTTR分子内CysのSH基のαアミノアクリル酸(デヒドロアラニン)への構造変換を再検証する。同定したアミロイド原性TTRの修飾構造解析結果を詳細に解析し、特にCysのSH残基に注目し、SH基から高反応性αアミノアクリル酸(デヒドロアラニン等)への構造変化を過去のin vitroアミロイド誘導化実験結果と検証する。 1)SH残基からのαアミノアクリル酸への変換については、in vitro実験で既に立証済みであるが、Cys-S-SO3共存下、市販の正常網膜/心筋組織を用いてin vivoアミロイド誘導化反応を惹起させた後、組織切片をIMS解析並びに病理免疫組織学的検索し、組織内TTR分子の異常修飾構造を詳細に解析する。 2)同定した異常修飾構造がin vitroアミロイド誘導化実験と同様の結果である事を立証する。 3)AL型/透析型アミロイド症病理標本より検出同定したアミロイド原性Ig軽鎖およびβ2MG分子内に存在するSH残基のαアミノアクリル酸への変換をTTR分子同様に検証し、我々の「アミロイド原性獲得機序」に関する仮説を検証する。
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