研究課題
最終年度も引き続いて、病院病理部から提供を受けた術中迅速/FFPE標本を供与して頂き、アミロイド症起因分子及び乳癌の診断指標分子の同定を行った。FFPE病理切片は、シトラコン酸加熱処理にて蛋白分子の架橋構造を修復した後、On-tissueトリプシン消化した組織切片を直接、質量イメージング(IMS)解析し、得られたMSMSスペクトルをデータベース検索にてタンパク質分子を同定した。同時に、主要な断片化ペプチドの[M+H]+イオンを指標にHeat-mapにて組織内局在を可視化し、従来の組織免疫染色結果と一致することを証明し、本IMS法が従来の病理組織学的検索と相補的に使用出来ることを明らかにする。具体的には、アミロイド原性を有する分子の中でインスリン、免疫グロブリン軽鎖、β2ミクログロブリン並びにトランスサイレチンを焦点に当て、解析を実施した。アミロイド組織標本として、心筋/肺組織/皮膚/直腸組織切片を作成し、賦活化/on-tissue酵素消化/IMS解析及びQITMSMS解析/データベース検索にてアミロイド症起因タンパク質分子を明らかにした。一方、今回新たに20症例の乳癌患者の術中迅速病理診断標本から診断指標をなり得る数種のタンパク質分子(を同定し組織免疫染色等病理検査結果と比較した。乳癌の悪性度との関与を示すと考えられるタンパク質分子を4種類COLIA2、PPIA、H2A1A、H4)同定することができた。今後、それら分子に対する特異抗体を用いた免疫組織化学染色結果とMALDI-IMS等で得られた解析結果を検証し、ELISA法 でタンパク質の定量を行い、新規悪性度関連タンパクとなるか否かを見極め、実際の標的タンパク分子としたい。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
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