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2013 年度 実施状況報告書

化合物同定及び異性体識別に資する閾値エネルギー分解IMS/MS/MS法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 25513011
研究種目

基盤研究(C)

研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

中村 健道  独立行政法人理化学研究所, 連携支援ユニット, 専任研究員 (10360611)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードオミクス計測科学 / 質量分析 / フラグメンテーション / 閾値エネルギー / MS/MS / 異性体 / イオン移動度 / エネルギー分解
研究概要

質量分析法による異性体の識別と同定のため,MS/MS フラグメンテーションパターン,解離反応におけるエネルギー閾値,前駆イオンならびにプロダクトイオンの気相移動度,解離反応と競争的に起きる異性化反応の結果もたらされる移動度変化などの多角的な情報から異性体間の挙動の違いを捉え,解析するための方法として,閾値エネルギー分解 IMS/MS/MS 法を提案している.H25年度は,まず,フラグメンテーションネットワークを構成する反応経路を直接分離・観測できるモデル化合物の一つとして互いにジアステレオマーの関係にあるマクロ環状エーテル化合物などを用い,測定およびデータ処理ワークフローを構築した.
エレクトロスプレイイオン化によってカチオン付加イオン等の前駆イオン種を生成し,質量分離後の前駆イオンに対してエネルギー分解タンデム質量分析(ER-MS/MS)を行うと,実験室系衝突エネルギー(CE)依存的なフラグメンテーションパターンが観測される.CE を徐々に変化させながら ER-MS/MS データを取得するのと同時に,イオン移動度分析(IMS)を実施することにより ER-IMS/MS/MS データセットがえられる.異性体間の差は,フラグメンテーションパターンや移動度単独からは明瞭でない場合が多いので,m/z 対信号強度の生データからなる一連のデータセットを,CE を横軸,全プロダクトイオン強度/全イオン強度を縦軸としたフラグメンテーション効率曲線に変換出力,可視化するワークフローを構築した.フラグメンテーション効率曲線とエネルギー依存 IMS データを併せ可視化することで,今まで捉え難かった異性体間の微細なフラグメンテーション挙動の違いを識別可能となった.さらに,この手法を IMS で分離した後の異性体イオンへ適用することにより,イオン異性化過程の追跡が可能であることが示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

イオン移動度とエネルギー分解タンデム質量分析を用いた実験は概ね順調に推移した.ただし,一部の閾値エネルギーの評価に用いる参照データ取得のために使用することを計画していた装置の1台(JMS HX/HX110)に不具合が生じ使用困難な状況となった.そのため,対応策として,閾値エネルギー参照値の取得について,別法の併用を視野に入れて再検討することとした結果,その部分についてはやや遅れを生じた.

今後の研究の推進方策

一部の閾値エネルギーの評価に用いる参照データ取得のための使用を計画していた磁場型質量分析装置(JMS HX/HX110)に不具合が生じたため,閾値エネルギーの評価に際しては,他の装置を用いた実験データに加えて計算化学的手法を積極的に取り入れていくこととした.本研究課題の遂行に際しては,中間体イオン等,実測定に用いる参照化合物を得難いケースについても閾値エネルギーの評価が必要になってくる状況がしばしば出てくるものと予想される.したがって,自由度の大きな計算化学実験をより積極的に活用していくことにより,本研究課題の推進に資することができるものと考える.

次年度の研究費の使用計画

一部の閾値エネルギーの評価に用いる参照データ取得のための使用を計画していた磁場型質量分析装置(JMS HX/HX110)に不具合が生じたため,閾値エネルギー参照値の取得に関する実験の一部に遅延が生じ,H25年度計画の一部は未実施,次年度に繰り延べとした.
H26年度は,H25年度未実施分の計画を若干変更の上,他の装置を用いて実施すると同時に,計算化学的手法による実験をより積極的に取り入れて実施していくことを予定している.このため,実験資財消耗品費,ソフトウエア関連支出等の増大が見込まれるので,次年度使用額をもってこれに充てる計画である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] タンデム質量分析法による構造解析:種々の解離法と測定法を用いたデータをどのように捉え解釈していくか?2013

    • 著者名/発表者名
      中村健道
    • 学会等名
      第61回質量分析総合討論会
    • 発表場所
      つくば市
    • 年月日
      20130910-20130912
    • 招待講演
  • [学会発表] 糖ペプチドのイオンモビリティー質量分析と分子力学法を用いたコンフォメーション探索2013

    • 著者名/発表者名
      田尻道子,竹内孝江,Feifei Zhu, Maissa M. Gaya, 本郷やよい,中村健道,廣瀬賢治,David E Clemmer, 和田芳直
    • 学会等名
      第61回質量分析総合討論会
    • 発表場所
      つくば市
    • 年月日
      20130910-20130912

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公開日: 2015-05-28  

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