研究課題
日本は世界第4位の排他的経済水域体積を有するとされ、高低差の激しさや南北からの豊かな潮流の恩恵を受け、生物多様性のホットスポットとなっている。この多様性豊かな水産資源は世界無形文化遺産・和食の礎を支え、なおかつ世界でも健康嗜好より広く流通しつつある。つまり魚介類や海藻類、さらにはこれらを育む海洋環境には重要課題が山積していると言える。特に食と環境の課題に着目すれば、飲食物の呈味が産地によって異なることは、暗黙知として我々が経験的に感じていることである。しかし、例えばジュースやワインの場合はそのままNMR計測し、データベース化を推進しスペクトルの多変量解析を行うことで、僅か25種程度の代謝物組成の違いで産地判別が可能なことが報告されている。そこで我々は、類似のアプローチを魚類や海藻類といった水産物に適用可能かもしれないと着目した。一方で、産地毎の化学的特性がどのような要因に起因するか掘り下げて分析することは、かなり挑戦的な課題と思われる。我々は着目する環境中から採取した各種生物および地理学的試料から、未精製試料を各種分析機器で得たビッグデータを統合解析し、時空間の特徴抽出を行う手法を構築してきた。現在までに、河口底泥, 水中プランクトン、魚類と腸内細菌叢、海藻類について、有機物群、無機物群および微生物群集の分析データをビッグデータとして取得し、データ駆動型アプローチによりトレンドを鳥瞰的に捉え、サンプリングした地域の栄養特性に伴う微生物叢や化学組成変化といった特徴抽出を行うことができた。
1: 当初の計画以上に進展している
上述のように解析技術高度化自体は順調に進んでおり、また野外試料を採取した解析データの論文化も順調と言える。
定期的・継続的な野外試料採集を遂行しつつ、上述の解析技術高度化と組み合わせてアウトプットに結び付けていきたい。既に海藻類、底泥、魚類では成果が出始めており、予想以上の野外試料解析の展開としては農場育成試料も論文化できた。今後は養殖場試料についても展開していく予定である。
データベースの構築やwebツールの開発に携わるアルバイト学生の雇用を、一部最終年度に廻すことにした。学生アルバイト代金なので少額ではあるが、一部を残余金として最終年度に廻した。
主に謝金および旅費に使用予定。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (21件) (うち査読あり 14件、 謝辞記載あり 7件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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