研究課題/領域番号 |
25514003
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
茶谷 昌宏 東京工業大学, 生命理工学研究科, 助教 (80628628)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | メダカ / 重力 / 骨 / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
研究概要 |
【背景・目的】微小重力環境下では人の骨量は減少するため重力は骨代謝にとって重要だが、そのメカニズムは明らかになっていない。破骨細胞と骨芽細胞を可視化できるトランスジェニックメダカを日本実験棟“きぼう”で飼育し、微小重力環境下における骨量減少メカニズムを破骨細胞と骨芽細胞の視点から明らかにする。 【方法】TRAP promoter-GFP/Osterix promoter-DsRed ダブルトランスジェニックメダカを作製し、2カ月間を宇宙ステーション内で飼育した。微小重力状態の16日目と58日目にPFA固定を行って組織を回収し、2日目と62日目にRNAlaterで固定して遺伝子発現を調べた。特に骨のリモデリングが盛んである咽頭歯骨に注目して解析した。軟X線とμCTを用いて骨の密度を、共焦点顕微鏡と切片による組織解析によって破骨細胞と骨芽細胞の活性化を、高速シークエンサーを用いて遺伝子発現の変化を調べた。 【結果・考察】メダカは逆さまや縦向きに泳いでおり、重力と浮力がキャンセルされた環境で独自の姿勢制御を行うことが明らかとなった。軟X線とμCTで解析した結果、58日間飼育したメダカ咽頭歯骨部の骨密度が約30%減少していることが明らかとなった。残存蛍光タンパク質から破骨細胞と骨芽細胞の総体積量を測定した結果、16日で約50%に減少しており、骨芽細胞に対する破骨細胞の総体積量は約2倍に増加していた。このことは、2週間で破骨細胞と骨芽細胞は不活性化されているものの相対的に破骨活性が高いことを示唆し、低回転型骨粗鬆症と類似した現象が生じていることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
宇宙実験を行ったサンプルに対する地上コントロールサンプルも宇宙メダカと同条件でそろえなければならなかったため時間を要したが、同等のサンプル保存状態で解析はできた。このサンプルを元にして、組織の解析を行う予定。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子発現の変化を手掛かりとしてながら、組織を抗体等で染色し詳細に調べていく。特に骨の組織について、骨の細胞や細胞外マトリクスについて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
地上コントロールサンプルを揃えるために時間を要し、宇宙実験解析を平成25年度に実施できなかったため。 宇宙実験の組織解析に用いる。抗体や染色等。
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