研究課題
基盤研究(C)
植物が重力に対抗できる体を構築する「抗重力反応」におけるアクチン繊維の役割を解明するために、平成25年度は、遠心過重力環境で生育させたアズキならびにシロイヌナズナ芽生えの1) 細胞形態、2) アクチン繊維の動態、3) アクチンレベルの解析を行った。過重力環境下で生育させた芽ばえの茎表皮細胞の長軸ならびに短軸の長さを測定したところ、重力の大きさが大きくなるにつれて、長軸の長さは減少し、短軸の長さは増加した。すなわち、重力の大きさが大きくなるにつれて、茎細胞は太く短くなった。上記条件の芽ばえを用いて、アクチン繊維を蛍光ファロイジンにより染色し、蛍光顕微鏡を用いて観察した。1 g環境下では、アクチン繊維は核から放射状に伸びていた。過重力環境下でも、アクチン繊維は、核から放射状に伸びているものの、細胞長軸に平行な方向ものが多く見られた。また、細胞長軸に平行なアクチン繊維は、細胞上部で、より多く見られた。さらに、このようなアクチン繊維の動態の変化は、重力の大きさが大きくなるにつれて顕著になった。次に、アクチン遺伝子ファミリーの各メンバーの発現レベルをリアルタイムPCRを用いて解析した。その結果、多くのメンバーの発現は、過重力によって変化しなかった。しかし、過重力によって、発現が増加するものと減少するメンバーもあることがあきらかになった。以上のように、過重力により細胞形態が変化する際に、アクチン繊維の動態やアクチンレベルが変化する可能性が示された。現在、より詳細な解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
より、詳細な解析が必要なため、平成26年度もアクチン繊維の動態やアクチンレベルの解析を継続して行うが、計画は問題なく進行している。
平成25年度に引き続き、アクチン繊維の動態やアクチンレベルの解析を行う。動態の解析に関しては、現在までは、蛍光顕微鏡を用いていたが、より詳細な解析が必要となったため、新たに導入された共焦点レーザー顕微鏡を用いて解析を行う。また、平成26年度は、アクチン繊維の動態の変化に表層微小管やメカノレセプターが関与しているのかもあわせて解析する。
蛍光顕微鏡を用いて、アクチン繊維の動態の解析を解析していたが、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、より詳細に解析する必要があることが、平成25年度の研究によりあきらかとなった。平成25年度末に、共焦点レーザー顕微鏡の導入が決まったため、蛍光顕微鏡による解析を一時的に中断したため、蛍光ファロイジンなどの観察試薬を購入しなかった。そのため、次年度使用額が生じた。平成26年度に、共焦点レーザー顕微鏡を用いた詳細な動態解析を行うために、蛍光ファロイジンなどの観察試薬を購入するので、問題なく全額の執行を行うことができる。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/biol/pphys/index.html