• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

宇宙放射線組成線種・重粒子線によるDNA損傷とその修復機構

研究課題

研究課題/領域番号 25514007
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

大西 武雄  奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (60094554)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード放射線感受性 / 重粒子線 / DNA修復 / DNA損傷 / ストレス / マウス / 幹細胞
研究実績の概要

宇宙での長期滞在で被ばくする宇宙飛行士の宇宙放射線よって発現される生物影響の発現のしくみを明らかにすることを目指した。今回マウス個体に重粒子である炭素線を照射して、骨髄の幹細胞および前駆細胞の生存率を精査した。
ICRマウス(雄、5週齢)に炭素線(290MeV/u, 13.3keV/μm)を0.01~5.0Gyを単回全身照射した。マウスをペントバルビタールで麻酔し、アクリルボードにテープで固定し、さらに全てのマウス体幹の厚みが一定となるようにアクリルカバーを装着した。非照射および0.01~0.5 Gyを照射したマウスからは2~3 x E7個の有核細胞が、1 Gy 以上を照射したマウスからも1/2~1/3量の有核細胞が調製された。また MethoCult 培地を用いたコロニー形成法による生存率の解析では、0.01~0.5 Gy を照射したマウスの骨髄幹細胞および前駆細胞の生存率は非照射マウスと変わらない値を示し、生存率はほぼ1.0であった。1 Gy以上を照射したマウスの骨髄幹細胞および前駆細胞の生存率は、徐々に減少し、5 Gyを照射したマウスで約0.8であった。骨髄細胞においては照射1日後では重粒子線による0.5 Gy以下の照射により低線量超感受性が認められ、また高線量照射においては大きな肩を有する生存率曲線を示した。しかし、照射14日後では、5 Gyを照射したマウスにおいても骨髄幹細胞および前駆細胞の生存率は0.8まで回復していることが示された。これらの結果から、重粒子線の低線量被ばくした正常骨髄幹細胞は一時的に死滅するが、徐々に回復していくことが示唆された。また生存率曲線の形状から、骨髄幹細胞においては相同組換え修復が優先的に機能していることが示唆された。
これらのことから、重粒子線の低線量被ばくした寛骨(腸骨)骨髄幹細胞の応答(反応)解析の重要性が示唆された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 図書 (4件)

  • [雑誌論文] Life science experiments performed in space in the ISS/Kibo facility and future research plans.2016

    • 著者名/発表者名
      Ohnishi, T.
    • 雑誌名

      Journal of Radiation Research,

      巻: Supplement ページ: 1~6

    • DOI

      10.1093/jrr/rrw020.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 宇宙惑星居住科学連合の発足とそのめざすもの2016

    • 著者名/発表者名
      髙橋 秀幸・石川正道・大西武雄・加地正伸
    • 学会等名
      宇宙環境利用シンポジウム
    • 発表場所
      淵野辺
    • 年月日
      2016-01-18 – 2016-01-19
    • 招待講演
  • [学会発表] Post ISS計画めざしてーISASが主導する小型/中型/小規模研究プロジェクトへの期待ー2016

    • 著者名/発表者名
      大西武雄
    • 学会等名
      宇宙環境利用シンポジウム
    • 発表場所
      淵野辺
    • 年月日
      2016-01-18 – 2016-01-19
    • 招待講演
  • [学会発表] ハイパーサーミアがん治療の推移―基礎から臨床への発信2015

    • 著者名/発表者名
      大西武雄
    • 学会等名
      ハイパーサーミア学会,
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2015-09-04 – 2015-09-05
    • 招待講演
  • [学会発表] The role of recombinational repair for thermo-sensitization in X-ray-irradiated cells.2015

    • 著者名/発表者名
      Takesita, S., M. Ihara, T. Kudo and T. Ohnishi
    • 学会等名
      Int. Congr. Radiat. Res.
    • 発表場所
      Kyoto
    • 年月日
      2015-05-18 – 2015-05-22
    • 国際学会
  • [学会発表] Life science experiments performed in space in the ISS/Kibo facility and future plans.2015

    • 著者名/発表者名
      Ohnishi, T.
    • 学会等名
      Int. Congr. Radiat. Res.
    • 発表場所
      Kyoto
    • 年月日
      2015-05-18 – 2015-05-22
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] はかる百科2016

    • 著者名/発表者名
      大西武雄
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      丸善出版
  • [図書] 放射線医科学,2016

    • 著者名/発表者名
      大西武雄 監修
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      医療科学社,
  • [図書] Hyperthermic Oncology from Bench to Bed2016

    • 著者名/発表者名
      Kokura, S,, T. Yoshikawa & T. Ohnishi edited
    • 総ページ数
      未定
    • 出版者
      Springer JP
  • [図書] 化学物質・放射線, 理科年表2016

    • 著者名/発表者名
      大西武雄
    • 総ページ数
      1051-1054
    • 出版者
      丸善

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi