長期宇宙滞在での宇宙放射線よる生物影響を明らかにするため、マウス個体に重粒子線の炭素線を全身照射し、小腸・精巣および骨髄幹細胞におけるアポトーシス誘導を解析した。高線量2.0 Gy照射したマウスの小腸および精巣において顕著にアポトーシス誘導が認められた。骨髄においては高線量5 Gyを照射でも、低線量0.5 Gy以下の照射でも1日後に超感受性が認められるものの、照射14日後では5 Gyを照射した場合でも生存率は回復した。これらから重粒子線誘導DNA損傷には相同組換え修復が優先的に働くと考えた。重粒子線を含む宇宙放射線の生物影響を軽減するためには、放射線防護のさらなる重要性が示された。
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