研究課題
【背景】良性成人型家族性ミオクローヌスてんかん(Benign adult familial myoclonus epilepsy: BAFME)は、稀発の全般強直間代発作、皮質振戦の両者を主徴とする、高浸透率の常染色体優性遺伝の病態である。脳波検査ではてんかん性放電や光過敏性を認める。しかし脳機能を鋭敏に反映する脳波を用いた睡眠・覚醒時の皮質興奮性の変容はこれまで検討されていない。【目的】BAFMEの病態を、睡眠覚醒の変化にともなう皮質興奮変容の点から明らかにすべく、脳波を用いて検討した。【方法】脳波検査を施行したBAFME12名31件の脳波記録を対象とし、睡眠時・覚醒時におけるてんかん性放電の態様を比較した。睡眠または覚醒脳波が記録全体の10%以下(6記録)、てんかん性放電が5回以下(18記録)、アーチファクトが多い(1記録)を除外し、最終的に5名(女性5名、平均年齢:49.6±20.3歳)の6脳波記録を解析した。脳波所見で覚醒・睡眠を判定し、てんかん性放電の頻度を覚醒時と睡眠時で比較検討した(Wilcoxon signed rank test)。統計の有意水準はP<0.05とした。【結果】脳波は覚醒(66.6%)と軽睡眠(第1、2期; 33.4%)に分類された。てんかん性放電の頻度は覚醒時(1.3±1.2回/分)が軽睡眠時(0.02±0.04回/分)に比べ、有意に高かった(P<0.05)。【考察・結論】BAFMEの少なくとも一部で、軽睡眠時に皮質の過剰興奮および過敏性は減少した。これは進行性ミオクローヌスてんかんであるUnverricht-Lundborg病と類似の挙動であり、睡眠時のてんかん原性・皮質興奮性の変容に関して両者の類似が示唆された。以上より、BAFMEはその一部の病態において、進行性疾患との類似が示唆された。
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