研究課題/領域番号 |
25515005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 文京学院大学 |
研究代表者 |
碓氷 章 文京学院大学, 保健医療学部, 客員教授 (40203517)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 大学生 / 睡眠日誌 / 睡眠脳波 / 睡眠潜時反復検査 / 睡眠習慣 / 睡眠不足 / ナルコレプシー |
研究概要 |
以下は何れも平成25年度以前に行った対象も含んでいる。 (1)睡眠習慣:大学生264名(女性235名、男性29名、平均19.2歳)を対象とした。被検者は睡眠日誌を5週にわたり自記記録した。夜間睡眠時間は平日5.80時間、休日7.69時間であった。入眠・覚醒時刻は平日に比べ休日に遅く、休日の入眠・覚醒時刻は女性に比べ男性で遅かった。 (2)日本語版Epworth眠気尺度(JESS)・在宅睡眠記録:大学生72名(女性62名、男性10名、平均20.3歳)を対象とした。JESSによる眠気評価、携帯型脳波計を用いた在宅睡眠記録1夜(平日)を行った。男性の臥床時間は256.70分、睡眠時間(SPT)は245.00分であり、女性(313.45分、297.55分)に比べ短かった。JESS11点以上の者のレム潜時は44.85分であり、10点以下(63.37分)に比べ短かった。 (3)睡眠外来受診者におけるナルコレプシー所見:睡眠外来を受診した者で、終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)・睡眠潜時反復検査(MSLT)・HLA-DQB1タイピングを行った99名(情動脱力発作を伴うナルコレプシーは除く。男性44名・女性55名、平均25.3歳)を対象とした。年齢(25歳未満/以上)・性別(男/女)・DQB1*0602(有/無)・平日睡眠時間(6時間以下/6時間超)・睡眠不足(休日-平日が2時間以上/未満)を独立変数、平均睡眠潜時8分以下かつ入眠時レム期複数回出現を従属変数として、ロジスティク回帰分析を行った。単変量モデル・多変量モデルで、若年・男性・短時間睡眠・睡眠不足が有意(傾向)を示す独立変数であった。 (1)(2)より、学生の睡眠不足は著しく、特に男性の睡眠習慣が不良と思われる。(3)より、外来受診者でも、若年男性が睡眠不足にあるとナルコレプシー所見を呈しやすいと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初平成25年度計画では、A-1睡眠習慣調査・在宅睡眠脳波記録・HLAタイピング等を100名に行う、A-2携帯型脳波計を用いた簡易PSG・MSLTの妥当性を20名の被検者で検討する、というものであった。 A-1については、実際には51名に留まった。このため、過去に行った調査・記録を含め、(1)睡眠日誌に基づく睡眠習慣は264名、(2)在宅睡眠脳波記録は72名を対象として解析を行い、研究実績で述べた結果を得た。これらの成果は平成26年睡眠学会で発表予定であり、論文投稿の準備も進めている。しかし、HLAタイピングまで出来た者は51名に留まるため、DQB1*0602陽性群の睡眠習慣・眠気・睡眠脳波の特徴は検討できていない(DQB1*0602陽性者が少ない)。 A-2については、6名での解析に留まった。携帯型脳波記録とPSG・MSLTとのエポック毎の判定一致率は、PSGとが80.0%、MSLTとが89.5%であった。また効率を指標としたPSG、睡眠潜時を指標としたMSLTとは高い相関(各々R2 = 0.984、0.862)を得た。しかし、被検者数が少なく、妥当性が十分に検討できているとは言い切れない。 上記A-1、A-2の遅れは、被検者数が思いの外上がらなかったことによる。 当初計画より進捗しているのは、研究実績(3)睡眠外来受診者についての解析である(当初計画では平成27年度に詳細に検討する(C-1、C-2)ことにしている)。この結果についても平成26年睡眠学会で発表予定であり、論文投稿準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度A-1については、被検者数計100名を目標に26年度も継続して行う。被検者数を増やしてHLA-DQB1*0602 が眠気脆弱性と関連するかまで検討したい。25年度A-2についても被検者数計20名を目標に行う。 平成26年度当初計画では、B-1大学生を対象にPSG・MSLTを行い、MSLT平均睡眠潜時8分未満かつSOREMPsを認める者の睡眠脳波学的特徴を見出す。これについては既に4月初めから着手しており、被検者数50名を目標に行う。 B-2睡眠時間を1~2 時間延長(4 週)して再度PSG・MSLT を行う、は簡易PSG・MSLTの妥当性(A-2)を確認してから、簡易PSG・MSLTを用いて行う予定である。平成26年度に実施困難な場合は、平成27年度に実施することもある。 平成26年度直接経費は900,000円である。旅費70,000円以外の830,000円は携帯型脳波解析・HLAタイピング用とし、上記A-1、A-2、B-1、B-2の達成のために用いる。
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次年度の研究費の使用計画 |
直接経費を、旅費、その他(携帯型脳波解析、HLAタイピング、脳波用電極購入)に使用し、他に使用できないほどの少額(361円)が次年度使用額となった。 平成26年度助成金(直接経費900,000円)と合わせ、旅費、その他(携帯型脳波解析、HLAタイピング)に用いる。
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