研究課題/領域番号 |
25515009
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 公益財団法人神経研究所 |
研究代表者 |
井上 雄一 公益財団法人神経研究所, 研究部, 客員研究員 (50213179)
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研究分担者 |
羽生 春夫 東京医科大学, 医学部, 教授 (10228520)
咲間 妙子 (笹井 妙子) 東京医科大学, 医学部, 助教 (70419026)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | REM睡眠行動障害 / α-synucleinopathy / スクリーニング / 縦断経過 / 認知機能 / 脳機能画像 |
研究概要 |
1.初診後2年以上経過したREM睡眠行動障害(RBD)患者14例について、認知機能検査(MOCA)、嗅覚機能検査、SPECTによる脳血流量検査、ポリソムノグラフィ(PSG)について、フォローアップ検査を実施した。結果、臨床症状の悪化はなく(全例pramipexoleないしclonazepamによる治療中)RBD発現基盤となる睡眠脳波上のstage REM without atonia(RWA)量にも変化がなかったものの、MOCA上認知機能の有意な低下、SPECT上での後頭葉領域の血流低下が確認された。嗅覚については、新たに嗅覚閾値の悪化(sniffin stick 使用による)が認められた症例が2例存在したが、これとRWA量変化ないし臨床症状変化との関連は認められなかった。これららからみて、RBDでは2年以上の経過において、α-synucleinopathy様の脳血流低下・認知機能低下(MOCAで定量される前頭葉機能低下)が生じる可能性が示唆された。 2.RBDの実態調査に使用しうるスケールとして、現在臨床現場のスクリーニングにもっとも高頻度に用いられている日本語版REM sleep behavior disorder questionnaire(RBDSQJ)を地域コホートのサブサンプル(1572名)に適応し、その妥当性につき検討した。すなわち、臨床現場でのスクリーニングのカットオフとなるRBDSQJ5点以上の対象者には全例(179名)インタビュー、4点以下の対象者にも同意が得られた者へはインタビュー(149名)を行った。その結果、RBDSQJのカットオフを5点から6点に上げた場合に、感度が100%、特異度が73%になることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、大規模調査の予備的検討として、既治療例のフォローアップ、質問紙の妥当性検証を目指していたので、予定を消化できたものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、RWA量とRBD症状の関係を検索することが重要との観点から、臨床例について、縦断的検討を行い、RWA量と臨床症状の重症度が必ずしも関連しないことを見出した。おそらく、RWA量よりも不快な夢体験の形成と関連する急速眼球運動密度、ならびにRWA分布(夜間後半ほど行動化は重症化する)の検討が必要と考えられ、現在この点についての準備に入っている。地域調査で使用するスケールもRBDSQJに決定、現在、item response theoryモデルを用いて、RBDSQJの項目の難易度解析を行っており、これにより本スケールからRBD重症度を判定する試みを行っている。これが終わり次第、1)地域コホートでの実態調査、2)臨床例の縦断研究の研究の強化(対象例を100例以上に増やす)にとりかかる予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度に正常被験者の終夜ポリソムノグラフィ検査を予定していたが、リクルートに時間を要しており、次年度に改めて被験者募集及び検査を行う予定である。 正常被験者のリクルートを行い、当初の予定通り終夜ポリソムノグラフィ検査及び被験者への謝金として使用する予定である。
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