研究課題/領域番号 |
25515010
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研究機関 | 公益財団法人神経研究所 |
研究代表者 |
對木 悟 公益財団法人神経研究所, 研究部, 研究員 (90376765)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症候群 / 上気道 / コラプシブルチューブ |
研究実績の概要 |
閉塞性睡眠時無呼吸症(Obstructive Sleep Apnea; OSA)は、睡眠中に上気道が閉塞する疾患であり、二大死因である心脳血管疾患の発現・悪化に関与する。またOSAは睡眠障害の中でも最も高頻度にみられ、その病態解明は睡眠科学領域における重要課題といえる。近年、OSAの発症・重症化には上気道領域の解剖学的異常が深く関与するというエビデンスが蓄積されてきたが、形態的異常の少ない重症OSA患者も臨床上多く、OSAにヒト神経性調節機構の異常も疑われる。しかし、この異常が実在するのか、その場合どの程度OSA重症化に関与しているのか、さらにはこの機構に対する標的治療法開発の妥当性も不明である。加えて、上気道をコラプシブルチューブとみなした場合、チューブ自体の弾性変化に大きく依存してOSAが発症・重症化している可能性も否定できない。本研究は、OSAの病態解明を目的とする基礎的研究であり、ヒト上気道閉塞を解剖学的かつ流体力学的に単純化・再現する可視化In vitroモデルを開発し、それを組み込んだ実験系を確立する。さらに、そのモデルにおける実験的上気道閉塞が、上気道反射機能に及ぼす影響を生理学的に解析し、上気道神経性調節機構の役割とOSA病態との関連を探索する。これまでに本研究では、「OSA発症・重症化には上気道神経性調節機構の異常が関与する」という仮説を検証するために、以下の2点を検討してきた:(1)上気道閉塞・開通を再現する可視化モデルの有効性、(2)同モデルを用いた実験的上気道閉塞に対する上気道の反射的応答特性。これまでに実験システムを確立し、上気道閉塞シミュレーション時の上気道の反射的応答の解析を中心にプロジェクトを進め、システムの臨床応用性についても検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
OSA患者の上気道拡張筋活動の再現性のある記録が困難であり、当初の計画を変更する必要が生じたため。
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今後の研究の推進方策 |
上気道拡張筋活動記録を中止し、上気道の実験的閉塞に伴う弾性変化を観察する実験へ変更する。上気道を閉鎖空間にした状態で、インダクタンスプレスチモグラフを装着し呼吸状態をモニタリングし、換気量がFRCレベルの時に上気道内圧を変化させ、このときの上気道内圧を測定する。この手法によって上気道の弾性の相違を(1)正常者とOSA患者、(2)若年OSA患者と高齢OSA患者との間で比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた上気道拡張筋記録を中止したため、かかる電極・機器の購入が不要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
実験計画の一部変更に伴い、上気道を閉鎖空間にした状態で、インダクタンスプレスチモグラフ(RIP)を購入する。RIPを装着し呼吸状態をモニタリングし、換気量がFRCレベルの時に上気道内圧を変化させ、このときの上気道内圧を測定する。
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