本研究は被災地(東北地方)の伝統芸能・民俗芸能に対しテクノロジー(情報技術)を用いることによって保存し、継承を支援することを目的とした。そこで、3年間で東北六県と北海道の伝統芸能・民俗芸能をモーションキャプチャ及び立体視(3D)カメラで計測した。3年間で記録した演目数はモーションキャプチャ18演目、立体視映像は60演目となった。これらのデータの一部はWEBページに公開したことで、広く社会に研究について知らせるとともに、伝統芸能・民俗芸能を知ってもらう一助となった。 26・27年度は、25年度にモーションキャプチャ等を行った民俗芸能の中から、3つの芸能を選び、モーションキャプチャや立体視映像を用いた継承の支援を行った。具体的には右図のように、リアルタイムでモーションキャプチャのコンピュータ・グラフィックス、または立体視映像を見ながらの学習や、後で自分や師匠のコンピュータ・グラフィックスや映像を振り返ると言った活用を行い、モーションキャプチャ活用により舞踊の上達が見られることが明らかとなった。 さらには、踊りのみの再現でなくCGによる笛の音の教材作製し練習に活用してもらい継承の支援を行った。さらにはデータをAR等に加工し継承者らモチベーションの向上をはかった。このようなテクノロジー活用により、芸能を記録し後世へ伝えるとともに、地域住民への広報、さらには継承者らの情熱の高まりがみられることが明らかとなった。
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