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2013 年度 実施状況報告書

福島原発事故避難者の生活再建に向けた学際的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25516010
研究種目

基盤研究(C)

研究機関大阪市立大学

研究代表者

除本 理史  大阪市立大学, 経営学研究科, 教授 (60317906)

研究分担者 片岡 直樹  東京経済大学, 現代法学部, 教授 (60161056)
土井 妙子  金沢大学, 学校教育系, 教授 (50447661)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード原発避難者 / 原発賠償 / 復興 / 生活再建 / 川内村 / 仮設住宅 / 福島県弁護士会
研究概要

平成25年度は交付申請書の研究目的・実施計画にしたがい、(1)原発避難者にたいする聞き取り調査を中心に、(2)地元紙を中心とする文献・資料調査も並行して実施してきた。
(1)については、浪江、大熊、双葉、楢葉、富岡、川内などの避難者に聞き取り調査を行ない、調査の焦点を定めるための検討を行なった。
調査実施中の平成25年8月、避難指示区域の再編が完了し、12月には国のいわゆる福島復興指針(原子力災害対策本部決定)と、原子力損害賠償紛争審査会の第4次追補が出された。これによって、今後の原発賠償と福島「復興」政策に関するおおまかな枠組みが整ったと考えられる。その結果明らかになったのは、帰還や賠償、生活再建について、区域ごとの格差や相違が大きくなるであろうことである。賠償との関係でとくに難しさを抱えるのは避難指示区域の住民たちである。その実態を明らかにするために、すでに賠償が打ち切られている旧緊急時避難準備区域(第1原発30km圏)に注目する必要があると考え、次年度以降の主要な調査対象地域として設定することにした。川内村は、全域がほぼ30km圏に入り、村はいちはやく帰還と復興を進めている。
平成25年度には、共同研究者(分担者、連携研究者等)との調査設計の検討を複数回行い、多くの川内村民が避難する仮設住宅の自治会長と連携の体制をとることができた。また、同じ問題関心を持つ福島県弁護士会内のプロジェクトチームとも協力体制を構築することができた。
(2)については、自治体や研究機関が実施しているアンケート調査、地元紙、関連の書籍・論文などを、主要な調査対象とした。とくに地元紙・全国紙に毎日目を通し、必要な情報を得るよう努めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前述のように、平成25年度には(1)原発避難者の聞き取り調査を中心に、(2)地元紙を中心とする文献・資料調査も並行して実施した。
(1)については、避難者のおかれた多様な現状をあきらかにするために、浪江、大熊、双葉、楢葉、富岡、川内などの避難者に聞き取り調査を行なった。そして調査結果の整理を進めるとともに、調査の焦点を定めるための検討を行なった。平成25年度中に、避難指示区域の再編が完了し、福島「復興指針」、原子力損害賠償紛争審査会の第4次追補などで、今後の原発賠償と福島「復興」政策に関するおおまかな枠組みが明らかになった。これらの政策動向から、生活再建の困難は地域ごとに多様化すると考えられるが、賠償との関係でとくに難しさを抱えるのは避難指示区域の住民たちである。避難指示解除準備区域では、平成26年4月から順次避難指示の解除が進み、賠償の打ち切りが目前に迫っている。その実態を明らかにするために、すでに賠償が打ち切られている旧緊急時避難準備区域(第1原発30km圏)に注目する必要があると考えた。
平成25年度には、共同研究者(分担者、連携研究者等)との調査設計の検討を複数回行行うとともに、多くの川内村民が避難する仮設住宅の自治会長と連携の体制をとることができた。また、同じ問題関心を持つ福島県弁護士会内のプロジェクトチームとも協力体制を構築することができた。
(2)については、自治体や研究機関が実施しているアンケート調査、地元紙、関連の書籍・論文などを、主要な調査対象とした。とくに地元紙・全国紙に毎日目を通し、必要な情報を得るよう努めた。自治体の復興計画については、浪江町の調査が中心となったが、今後、川内村についての調査を深める必要がある。

今後の研究の推進方策

前述のように平成25年度の調査を通じて、川内村民が避難するある仮設住宅の自治会長との連携、および福島県弁護士会内のプロジェクトチームとの協力体制を構築することができた。平成26年度はこれをさらに継続・発展させ、避難者に対する聞き取り調査を引き続き実施する。その際、避難者のおかれた状況の多様性を考慮して、調査対象に大きな偏りが出ないように配慮する。具体的には、避難先の形態(仮設住宅であるか、その他の借り上げ住宅などか)、また主たる家計支持者の年齢階層、生活再建の進捗状況などを考慮する。
また、避難者の意識動向、国・自治体の復興政策等に関する文献・資料調査も並行して実施する。自治体や研究機関が実施しているアンケート調査、地元紙、関連の書籍・論文などにより避難者の意識動向の把握に努める。復興政策に関しては、平成26年度は主に川内村を対象として、帰村者の意識動向に関する聞き取り調査とあわせて、村役場においても一次資料の収集と聞き取り調査を進める。また避難指示の解除が進む田村市都路、南相馬市、飯舘村などの動向にも目配りしたい。
以上の調査研究を通じて得られた知見について中間的な取りまとめを行ない、学会発表や雑誌論文、あるいは一般向けの講演等を通じて発表していく。

次年度の研究費の使用計画

前述のような政策動向も作用して、平成25年度中に計画された調査が、一部次年度にずれ込んだため、また謝金、その他においても、申請者の基盤研究費など、他の研究費から支弁できた部分があるため。
とくに旅費については、平成26年度の早い段階で調査を実施する予定である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (12件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 戦後日本の公害問題と福島原発事故2014

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      經濟學研究

      巻: 63巻2号 ページ: 85-95

  • [雑誌論文] 「ふるさとの喪失」被害とその救済2014

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 86巻2号 ページ: 68-71

  • [雑誌論文] 原発事故の被害補償と東京電力、国の責任2014

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      住民と自治

      巻: 611号 ページ: 16-19

  • [雑誌論文] ウラン残土放射能汚染による土地利用妨害排除の裁判―「榎本訴訟」第1審について2014

    • 著者名/発表者名
      片岡直樹
    • 雑誌名

      現代法学

      巻: 26号 ページ: 51-86

  • [雑誌論文] 福島原発事故における不動産賠償2013

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      都市住宅学

      巻: 81号 ページ: 82-85

  • [雑誌論文] 原発事故の被害補償とエネルギー転換2013

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      科学

      巻: 83巻6号 ページ: 676-681

  • [雑誌論文] 福島原発事故における絶対的損失と被害補償・回復の課題――「ふるさとの喪失」と不動産賠償を中心に2013

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      経営研究

      巻: 64巻3号 ページ: 25-41

  • [雑誌論文] 「復興の加速化」と原発避難自治体の苦悩――避難指示区域の再編と被害補償をめぐって2013

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      世界

      巻: 845号 ページ: 208-216

  • [雑誌論文] 原発賠償の現状2013

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      エコノミスト

      巻: 91巻32号 ページ: 92-94

  • [雑誌論文] 原発事故の被害と補償・回復に関する一考察――「ふるさとの喪失」を中心に2013

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      法の科学

      巻: 44号 ページ: 131-139

  • [雑誌論文] 福島原発事故がもたらした絶対的損失――「ふるさとの喪失」を中心として2013

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      環境経済・政策研究

      巻: 6巻2号 ページ: 50-54

  • [雑誌論文] 原発事故被害の回復と賠償・補償はどうあるべきか――「ふるさとの喪失」を中心に2013

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      環境と公害

      巻: 43巻2号 ページ: 37-43

  • [学会発表] 福島原発事故の被害実態とその評価に関する試論

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 学会等名
      環境三学会合同シンポジウム2013
    • 発表場所
      明治大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 福島原発事故による地域社会への被害

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 学会等名
      日本地域経済学会西日本支部研究会
    • 発表場所
      京都大学
    • 招待講演
  • [学会発表] 福島原発事故における「絶対的損失」

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 学会等名
      環境経済・政策学会
    • 発表場所
      神戸大学
  • [備考] 原発事故による「ふるさとの喪失」は償えるのか

    • URL

      http://synodos.jp/fukkou/7019

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公開日: 2015-05-28  

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