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2014 年度 実施状況報告書

原発と村落社会の法社会学的研究-下北半島を中心としてー

研究課題

研究課題/領域番号 25516011
研究機関札幌大学

研究代表者

林 研三  札幌大学, 地域共創学群, 教授 (60218568)

研究分担者 塩谷 弘康  福島大学, 行政政策学類, 教授 (50250965)
岩崎 由美子  福島大学, 行政政策学類, 教授 (80302313)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード漁業と漁協 / 原発事故 / 農業
研究実績の概要

本年度は下北半島の東通原発の立地である東通村白糠での聞き取り調査と東京電力福島第一原発事故による被害状況、復興状況についての聞き取り調査を実施した。前者については白糠地区の自治会長と白糠漁協の理事2名から聞き取り調査を行った。その結果、当該地区での東通原発建設以前と以後の大きな違いの一つが「出稼ぎ」の減少であることが判明したが、このこと自体は当該地区住民自身も最初からそういった「効果」があると予想していたわけではないとのことである。当時の原発をめぐる漁協内での対立は専業漁家と非専業漁家との対立の様相を帯びていたと言われていたが、必ずしもそうでないようだ。今後は原発建設による漁業の影響という観点からだけでなく、漁村・漁民への影響という観点からの考察も必要であろう。
福島県の聞き取り調査ではNPO法人「相馬はらがま朝市クラブ」理事長、「浮舟の里」理事長からの聞きとり調査を行い、常磐線の小高駅とその付近の見学を行った。特に無人化した小高駅周辺に花を植えている元住民の姿が印象的であった。「朝市クラブ」の活動は注目されるが、今後はその活動を被災住民がどう受け取っているかの調査も必要であろう。また、調査に先立って、福島大学で研究会を行い、分担研究者の二名が執筆した著書を題材として、今後の福島のあり方についての討論を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していた東通村白糠地区での原発についての調査がはかどっていない。理由はすでに稼働している原発の建設時の「対立構造とその収束過程」について、十分な聞きとり調査ができないからである。他方で白糠地区の村落構造についての調査は順調に進んでいるが、その調査結果と原発問題との関連を問うための作業仮説の構築に手間取っている。他方で、福島県に関しては、分担研究者による先行調査研究もあり、概ね順調にすすんでおり、その研究成果もでている。

今後の研究の推進方策

今年度は東通村の白糠地区とともに、近隣の他地区の聞き取り調査をも行う。白糠地区での原発自体に関係する調査がはかどっていないので、当地区や近隣地区での産業や家族・親族慣行、及び村落生活・村落組織の、過去約30年間の変容過程の調査を行うなかで、原発問題に接近するという方法をとる。この変容過程の分析から原発問題がひきおこした当地区内の軋轢・対立が家族・親族慣行や村落生活・村落組織にどういう影響を与えたのかを考察する。
他方の福島県の場合は、昨年度に引き続き、南相馬市の小高地区住民の聞き取り調査をすすめるが、その主眼は小高駅前で花を植えていた住民や「語り部」としての役割を担っている住民に焦点をあて、そういったレベルでの新たな「街づくり」の進展状況を考察することになる。

次年度使用額が生じた理由

分担研究者に「予定外の仕事」がはいったことと、研究代表者の「個人的事情」によって、毎年9月に実施してる青森県での共同調査を行うことができなかったためである。その代替として研究代表者1人による短期間の調査を2月に行った。

次年度使用額の使用計画

青森県東通村の調査と福島県での中・長期の調査を研究代表者・分担研究者・研究協力者によって行う。東通村調査は原発立地の白糠地区だけでなく、近隣地区の調査も続行し、村落社会の多面的様相から原発問題に迫る。福島県調査は分担研究者を中心として行うが、必要に応じて、研究代表者や研究協力者も参加する。これらとともに、福島県と青森県以外の地域(山口県・上関等)での原発反対運動の調査を予定しているが、これは研究分担者と研究協力者が中心となり、次年度以降の新たな研究計画への接続を意図している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 食と農でつなぐ 福島から2014

    • 著者名/発表者名
      塩谷弘康・岩崎由美子
    • 総ページ数
      216
    • 出版者
      岩波書店

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公開日: 2016-05-27  

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