研究課題/領域番号 |
25516015
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
井上 和男 帝京大学, 医学部, 教授 (70275709)
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研究分担者 |
鹿嶋 小緒里 広島大学, その他の研究科, 助教 (30581699)
松本 正俊 広島大学, その他の研究科, その他 (40348016)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 医師分布 / 津波 / 原発事故 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、予備的解析として、公表されたデータを用いて被災3県(岩手、宮城、福島)での二次医療圏ごとの医師分布のおおまかな変化をみた。その結果、津波被害による医師分布への影響は軽度である一方、原発周辺の医師の減少は二次医療圏での分析でも明瞭に見られた。この結果を基に、本研究の目的である市町村別や医療機関別の医師動向の分析を進めた。医師調査および、医療施設調査の目的外申請を行い、厚生労働省より各調査票の入手が完了した。それらデータセットを用いて、対象とする医師の絞込みを行い、医師調査票と医療施設調査の連結を行った。そして、連結したデータを用いて、各医師が勤務する医療機関から被災地までの距離を地理情報システム(GIS)で算出し、その距離を基に医師を被災地までの距離別に分類を行った。
具体的には、津波浸水地域からの最短距離、および福島第一原発からの直線距離に基づき地理的に分類を行い、その分類を用いて、医師数の震災前後の増減割合の評価を一部開始している。また、あわせて、市区町村単位別にも被災地からの距離別に分類を行い、震災前後で、各被災地からの距離別に医師数の変動がどれくらいあるかの評価をあわせて実施している。これら解析の一部はすでに完了しており、二次医療圏ごとの分析と概ね合致していたがより詳細な結果が得られた。例えば、原発事故においては周辺地域で医師数は病院および診療所とも減っており、その増減の分布は被災地に近い地域でばらつきが大であった。平成27年度は、解析を引き続き実施し、それら結果から導かれた事象について議論を行い、最終的に論文としてまとめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した調査票の入手も完了し、被災地からの距離の割り当てもGISを用いて完了するなど、当初の予定した内容はすべて実施することができた。また、市区町村単位での解析および、病院単位での解析も一部すでに取り組んでおり、現在のところまでは計画通りである。
一部、移動した医師の基本属性に違いがあるかについての評価については、データセット作成が完了していない部分があるため、今後移動の定義等をさらに議論をし、データセットの作成および解析を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、平成26年度に作成したデータを用いて、解析作業を継続して実施する。また、解析は、1)被災地からの距離で医師数の増減が異なるかと、2)医師の基本属性による移動に違いがあるかの2つに分けて実施する予定である。すでに1)は平成26年度に解析の一部が完了しているが、医師の基本属性の調査のデータセットを平成27年度はさらに定義を明確化して作成し、解析を予定している。
また、この2つの解析フェーズはそれぞれを、論文として、公表予定である。これら本年度も調査票データを用いて解析を実施するため、厚生労働省へは目的外申請のデータ利用延長申請を現在行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
・平成26年度に現地調査を行う予定であったがそれが実行できなかった。 ・1名の研究分担者が行う予定のデータ分析が、もう1名によってほぼ実施できた。
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次年度使用額の使用計画 |
・平成26年度に行う予定であった現地調査を実施する。 ・データ分析については最終的な集計および分析結果を得るために、必要な物品(ソフトウェアなど)を購入する。
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