本研究5年目(本助成事業(基盤研究C)では3年目)として引き続き日本青年団協議会と共同でヒアリングや生活記録の取り組みを行った。8月に宮城県仙台市にて、岩手県・宮城県・福島県の青年団関係者(女性リーダー)および日青協役員らと会合を開催し各々の状況を共有しヒアリングを行った。その後、①福島県浪江町から秋田県秋田市に避難中の青年団OBへのヒアリング(2016年1月)、②宮城県石巻市・南三陸町・気仙沼市への視察・ヒアリングの実施(2016年1月)、③福島県浪江町から避難中で現在南相馬市で勤務する青年団OBへのヒアリング(2016年2月)を行い、並行して地域青年からの手記も収集して『生きる~東日本大震災と地域青年の記録~』第4号を作成した。この記録を全国青年問題研究集会(日青協主催)および全国理事会(同)で共有し、北海道から沖縄まで全国の地域青年による学習が展開された(2016年3月)。なお、2015年8月には社会教育推進全国協議会の研究大会にてこれまでの取り組みが紹介・発表された(報告者は日本青年団協議会)。また『生きる』第3号(2014年5月)が日本社会教育学会『日本社会教育学研究』(第51巻第2号)紙上にて紹介された。 本年度に特徴的なのは以下の点であった。①震災後4年が経ち被災地域ごとの相違、および被災者個人による相違がより顕著、②福島県の原発被災地からの避難者は「移住」とも「定住」ともさらには「避難」とも言い難い状況に置かれながら「家」や「地域」と向き合っている(その様相は年代による差異も大きい)、③そうした差異や温度差を反映して青年どうしやその集団の中でも意識や見解の相違が顕在化、④それを言語化しつつ共有する方向性が模索されているが、そこで鍵を握るのは被災地外(例えば西日本)の青年たちのかかわり方であると考えられる。
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