研究課題/領域番号 |
25516020
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
金森 絵里 立命館大学, 経営学部, 教授 (70330016)
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研究分担者 |
兵藤 友博 立命館大学, 経営学部, 教授 (20278477)
小久保 みどり 立命館大学, 経営学部, 教授 (30234735)
中瀬 哲史 大阪市立大学, 経営学研究科, 教授 (40274352)
佐野 正博 明治大学, 経営学部, 教授 (70206001)
山崎 文徳 立命館大学, 経営学部, 准教授 (70411204)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 原子力発電 / 日本 / 歴史 / 電力会社 / 経営 / 会計 / 技術史 / 組織論 |
研究概要 |
本研究では、日本における原子力発電の歴史を領域横断的に整理し、今後のより適切な原子力発電のあり方を明らかにするために、以下のような活動をおこなった。 1.理論研究 メンバーそれぞれの専門領域に沿い、経営学的・会計学的・技術史的・組織論的・政策史的・哲学的観点から、日本の原子力発電に関する歴史を研究・評価した。研究会は2013年5月18日(土)13~17時、2013年10月13日(日)13~17時、2014年1月26日(日)14~17時の3回行い、歴史の共有とディスカッションおよび実態調査に関する企画を行った。 2.実態調査 元原発設計技術者田中三彦氏へのインタビューを2013年5月26日(日)18~20時、日本大学商学部周辺の喫茶店において行った。また、柏崎刈羽原発への調査訪問を行った。日程は2014年2月26日(水)~28日(金)、調査対象は刈羽村村長、柏崎市役所、両市村議員、東京電力柏崎刈羽原発、地域の会の推進派と反対派、などであった。 3.調査・研究成果の公表 日本科学史学会第60回年会 (日本大学商学部)における日本学術会議史学委員会公開シンポジウム「原子力発電の社会的普及プロセスの歴史的検討」(2013年5月26日(日)14~17時)の開催に際して、メンバーがコーディネーターおよび報告者として積極的に参加した。また、メンバーによる論文が6本、学会誌および各大学の紀要に掲載・公表され、我々の認識に対して広く意見を求めた。さらに、調査内容は文字おこしして記録化しており、次年度に調査記録としてワーキング・ペーパーにまとめ公表する準備が整っている。 4.研究の進捗管理 事務局打合せは研究会の前後に4回程度行った。その都度、研究の進捗状況を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原子力発電の発展を総合的な観点から振り返り、適正な事実認識・価値判断座標の在り方を明らかにし、今後の原子力発電の行方を考えるという目標に対し、原子力発電の発展を総合的な観点から振り返るという作業が達成された。すなわち、経営学的・会計学的・技術史的・政策史的・組織論的・哲学的観点からそれぞれ研究をおこない、研究会において歴史の共有とディスカッションをおこなった。また、それぞれの研究で得られた調査・研究成果について、各自の所属する学会等で学会発表し、学会誌および各大学の紀要に投稿・公表し、我々の認識に対して広く意見を求めた。すなわち、経営学的観点からは中瀬哲史「現在は『危機の時代』か」が、会計学的観点からは金森絵里「東京電力の会計情報と原発事故」が、技術史的・政策史的観点からは兵藤友博「原子力発電の社会的普及プロセスの歴史的検討」が、哲学的観点からは佐野正博「原子力に関する社会的イメージの歴史的形成」が、組織論的観点からは小久保みどり「従業員の組織内階層による直属上司のリーダーシップ効果の違い」が、それぞれ発表された。また、研究協力者からの発表として、慈道裕治「東京電力福島原子力発電所事故の遠因を探る」、および横田陽子「戦後日本における環境放射能調査の経緯とその実像:原子力の導入・利用政策との関連で」がある。これらの研究者が2013年5月18日(土)13~17時、2013年10月13日(日)13~17時、2014年1月26日(日)14~17時の3回集まり、歴史の共有とディスカッションをおこなった。また、研究会の前後に研究打ち合わせを年に4,5回おこない、研究の進捗管理が適切になされた。実態調査においては、行政・電力会社・住民などにたいして総合的に調査をおこない、具体的な実態が把握された。以上の理由により、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
原子力発電の発展を総合的な観点から振り返り、適正な事実認識・価値判断座標の在り方を明らかにし、今後の原子力発電の行方を考えるという目標に対し、今年度は原子力発電の発展を総合的な観点から振り返るという作業が達成されたため、これに続いて、適正な事実認識・価値判断座標の在り方を明らかにすることを次年度の目標とする。特に、日本の原子力発電に関する総合的な歴史認識について哲学的基礎に裏付けられた合理性の観点から評価を行う準備に入る。具体的には、日本の原子力発電の歩みについて、それが正しかったのか・間違っていたのか、間違っていたとしたらどこが間違っていたのか、などについて哲学的基礎を用いて判断し、将来の原発事故による災害・被害を提言するための方策について論点整理をする。これを達成するために、年3-4回の研究会を開催し、メンバー同士での認識共有とディスカッションを継続する。 また、今年度と同様に、当該年度で得られた調査・研究成果については、中間報告として、各自の所属する学会等で発表し、学会誌および各大学の紀要に投稿・公表し、我々の認識に対して広く意見を求めていく。 実態調査を実施し、原子力発電とその現状に関する理解を深める。実態調査で得られた情報については、調査記録としてワーキング・ペーパーにまとめる。 また、領域横断的研究の成果になるか、個別領域に限定した研究成果になるかは現時点では未定であるが、英語による学会報告を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
原子力発電所の実態調査の日程が、メンバーのスケジュール調整などにより2014年2月26日(水)~28日(金)と年度末近くになったため、本実態調査の調査報告書をまとめる作業が本年度中に完了しなかったため。 2014年2月26日(水)~28日(金)に行った実態調査の報告書の完了が次年度にずれ込んだため、上記調査報告書をまとめるために必要な諸支出に残額を充てる計画である。
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