本研究は、東日本大震災および福島第一原発事故により大きな被害を受けた福島県の農村女性起業事例を調査対象として、被災の状況と復旧に向けた課題・問題点、今後の経営再開や活性化の方向性と支援機関の役割について考察を行った。避難指示区域内の事例に関しては活動を休止したままの経営体が多いものの、中には避難先で起業活動を再開した事例や、自らの加工技術を生かして被災者支援活動を行う事例など多様な取り組みがみられた。これらの事例においては、震災後新たに結ばれた支援者とのネットワークが活動再開への大きな原動力となっており、地域内外への積極的な情報発信によるネットワーク形成の重要性を把握することができた。
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