航空会社と空港の関係は、対立と協調の関係が共存する多面的な構造を持つ関係の一つで興味深い。両者の間で、収入減等のリスクを分配する契約例(搭乗率保証契約)も存在し、政策面でも、混雑している羽田空港において、国は、航空会社と空港自治体とのリスク分配契約等の提案を、発着枠の配分の参考にしている。 本研究は、契約理論、ゲーム理論、交通経済学等に基づき、能登空港の例にも触れつつ、リスク分配契約を適切な内容で結ぶことで、当事者がより努力するインセンティブとして機能し、相手方の努力が見えないことに起因するモラルハザード等の状況を克服し、当該空港の路線利用者を含む関係者全体の厚生水準を高めること等を示した。
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