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2013 年度 実施状況報告書

国境離島における海洋利用に視点を置いた公共政策に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 25518014
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東海大学

研究代表者

山田 吉彦  東海大学, 海洋学部, 教授 (90512616)

研究分担者 川崎 一平  東海大学, 海洋学部, 教授 (10259377)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード国境離島 / 海底資源開発 / 水産資源 / 海洋安全保障
研究概要

日本は四方を海に囲まれた島国であり、その国境といえるものは排他的経済水域および大陸棚の限界における隣国との境界である。この国境を持つ地方自治体の活性化は、日本の安定した社会を形成する上で不可欠であると思慮する。そのため地方自治体は、海洋利用を念頭に置いた政策の立案が必要となる。本研究は、その国境離島に関わる行政機関が行うべき海洋政策の方向性を調査し、提言することを目指すものである。本研究を実施するにあたり、まず、内閣官房海洋政策本部および水産庁関係者、水産総合研究センター国際水産資源研究所から聞き取り調査を実施した。また、主たるフィールドを石垣島=石垣市に設定し、海洋政策に関する石垣市の動向を調査するとともに、2013年3月に制定された石垣市海洋基本計画について、策定後の推進策について、同市長はじめ市会議員、市役所部局と検討を続けた。
その結果、石垣市民に対し、基礎的な海洋に関する知識の普及を行う必要があると判断し、石垣市と東海大学が共同で市民向け講座「石垣市海洋ゼミナール」を延べ10回開催することなり、2014年1月にプレゼミナール、3月に第1回を開催した。また、2014年2月には、石垣市内にある三つの高校の学生とともに海洋タウンミーティングを開催した。
また、石垣島と対比する国境離島として、対馬、壱岐、五島列島、隠岐の島、南大東島、北大東島、西表島を訪問し、各地方自治体の進める海洋政策について調査を行った。
その結果、過疎化、高齢化とは別に離島における社会政策の不備を是正する必要がわかり、今後の課題となった。また、国際的な状況から領海を3海里としている特定水域である津軽海峡、対馬海峡において、実際の国境の状況を視察した。
本研究の成果は、新潮45、産経新聞「正論」等に投稿し、また、日本国内、20箇所ほどで講演を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

国境離島と呼ばれる島々の多くは、過疎化、高齢化といった社会的な問題を抱え、伝統的に培ってきた社会の維持にすら難しい状況となっている。そのような状況において、政府は国境離島の位置づけを明確にし、離島政策を推進する方向になっているが、具体的な施策については手をこまねく状況にある。
本研究において研究対象とした石垣市では、2013年「海洋基本計画」を策定し、島嶼特有の海との関わりを地域の振興に資するために研究し、活用を目指している。そして、市民が海洋とのかかわりを理解し、水産業とそれに関わる産業、観光業、沿岸開発、海洋開発など多岐にわたる分野の産業振興に結び付け社会を活性化させる施策に着手するようになった。
具体的には、まず、市民に社会基盤の強化における海洋利用の有効性を伝えるために、2014年1月から、石垣市と東海大学は共同で「海洋ゼミナール」を開催している。また、海洋環境負荷を考えた電気推進船就航計画を進め、また、自然再生エネルギーを活用した街づくりの推進、水族館新設計画、漁業への理解の促進、観光分野における海洋を利用したメニューつくりなどを行っている。同市は、2013年石垣新空港開設に合わせ、積極的な海洋利用策を提示したこともあり、受け入れ観光客数は前年比20%増となった。また、若年層の移住があり、人口も増加傾向にある。
他の国境離島における研究では、石垣市の事例を踏まえ、さらに安全保障、隣国との関係なども考慮に入れた海洋政策を調査している。対馬、壱岐、五島列島、南大東島、北大東島、甑島、隠岐の島等、予想以上に多くの国境離島の現状を調査することができ、研究成果の開示へ向けた準備を進めることができた。

今後の研究の推進方策

本研究は順調に推移しているところであるが、今後は、各国境離島の現状を整理し、比較研究を行う必要がある。また、島嶼における住民意識を海洋利用、海洋環境保全などの視点からアンケート調査を行い、住民主体となる海洋政策の立案に向けた動きをすることとしたい。
また、提言の作成に向け地域行政の関係を密にし、施策が「机上の空論」ではなく、実現可能なものとすべく、調査研究を進めて行くものとする。

次年度の研究費の使用計画

当該年度は、基礎的な調査に重点を置いたため、アンケートによる住民意識調査を次年度実施することにしたため、アンケートの収集、解析等にかかる人件費などを次年度使用することとした。
2014年度、アンケート調査を行い、その収集および解析のため当該金額を使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 図書 (2件)

  • [図書] 侵される日本2014

    • 著者名/発表者名
      山田吉彦
    • 総ページ数
      254
    • 出版者
      PHP研究所
  • [図書] すぐわかる日本の国境問題2013

    • 著者名/発表者名
      山田吉彦
    • 総ページ数
      328
    • 出版者
      海竜社

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公開日: 2015-05-28  

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