第一に,子が一人の家族を考え,第1期に子が居住地を選択し,第2期に親が子の近くに転居するか否かを決めるとする.ある公的年金の水準の下では親子は同居を選んだとしても,年金がある水準まで上昇すると,子は所得が最大になる地点に居住し,親はそこには転居しないため,親子は別居する.第二に,戦略的遺産動機を持つ親と二人の子からなる家族を考え,二人の子の居住地選択を検討する.親と子の選好に依存して,二つの均衡が生じ得る.(1)長子が親の提示する遺産ルールを受諾し,親と同居あるいは近隣に住む.(2)親は長子には遺産ルールを提示せず,次子が親の提示する遺産ルールを受諾し,親と同居あるいは近隣に住む.
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