政策評価は国内では目標管理型測定が主流になり、PDCA(Plan-Do-Check-Act)方式が一般化した。この方法は政策に数値目標を設定し、その達成度を測定するので判断し易いが、数値化困難な目標には何もできない。この不安がある政策評価の理論と実践について、再考を迫る大きな事実が出現した。2015年度はこの研究の最終年度であるだけでなく、国連の‘Millennium Development Goals(MDGs)’の最終年度でもあり、「国際評価年」でもあったという事実である。目標を達成できなかったMDGsが‘Sustainable Development Goals’に変わったのもよく知られている。大きな国際環境の変化、たとえばシリアの紛争、IS(Islamic State)によるテロに代表される事態が出現したからである。 これはMDGsだけでなく、平和構築政策評価もまた困難である状況を再認識させた。すなわち平和政策主体、客体(政策対象)の把握を困難にし、平和構築の政策ツールを無力化した。まさに、日本で一般化している目標管理型の政策評価が、国際社会においても方法的課題を持っていると問題が提起されたのである。もちろん、各国政府、国際機関が取り組みを試行錯誤しているが、実はこの試行錯誤にこそ、政策評価がその本領を発揮できるところである。
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