研究課題/領域番号 |
25540001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
住井 英二郎 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (00333550)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | プログラム理論 / 再帰 / パラメタ的高階抽象構文 / 環境双模倣 |
研究実績の概要 |
非単調な再帰的定義(負位置の再帰的出現がある定義)と関連の深いパラメタ的高階抽象構文(parameterized higher-order abstract syntax, PHOAS)を利用した、関数的(functional)なグラフ表現である、構造的グラフ(structured graph)[Oliveira and Cook, ICFP 2012]に関する研究を、研究協力者ら(博士前期課程学生およびポストドクター研究員)と共に引き続き行なった。より具体的には、原論文で考慮されていなかった、構造化グラフ表現の正規化のため、書き換え規則を定義し、その合流性・停止性の証明を行なった。書き換え規則の設計および停止性の証明においては、いくつかの自明でない考察が必要となった。この研究は代表者により情報処理国際連合(IFIP)関数型プログラミングワーキンググループ(WG 2.8)において発表された。本発表をはじめとする貢献により、代表者は日本人として初めて同ワーキンググループの正メンバーに選出された。今後は構造化グラフ以外のグラフ表現[Ghani et al., TFP 2006]等の関連研究について調査・考察するとともに、より一般に非単調な再帰的定義の研究を継続する計画である。 なお、平成27年1月から3月までポストドクター研究員を雇用するにあたり、基金化された科研費の「前倒し」制度が極めて有効に機能した(前倒しは補助金でも調整金により可能であるが、より煩雑な手続きが必要なため、基金でなければ事務に時間を消費し、研究に大きな支障をきたした可能性が高い)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非単調な再帰的定義の一つである高階抽象構文を用いた構造化グラフ表現について一定の成果が得られ、発表を行なった。なお、一般に基礎的学術研究、特に本研究のような理論的研究においては、そもそも「○年×月までに何々定理を発見する」などといった計画が本質的にありえないため、「当初の計画以上に進展している」あるいは「遅れている」といった評価はほとんど意味をなさないことを付言する。
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今後の研究の推進方策 |
構造化グラフ以外のグラフ表現[Ghani et al., TFP 2006]等の関連研究について調査・考察するとともに、より一般に非単調な再帰的定義の研究を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費、人件費(ポストドクター研究員)等に通常の範囲の誤差が生じたため(1円単位で正確に計画と一致することは常識的にありえない)。
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次年度使用額の使用計画 |
比較的小額のため、必要があれば他予算と合算し、軽微な物品費等に用いる。
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